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この本の表紙の絵は「タンギー親爺の肖像」というもので、画材店の店主であり、売れないゴッホの絵を買い、絵の具など貸し与えた心優しい人です。背景には浮世絵が数点描かれています。19世紀後半からフランスでジャポニスムが起こります。パリ世界博覧会から日本の特異な文化がもてはやされます。絵画も浮世絵に触発されて、画風も変わっていきます。ゴッホも例外ではなく、熱心に浮世絵を模写しています。アルル地方を日本に見立てて、移住し、仲間を呼び集めますが、ゴーギャンしか来ませんでした。でも仲たがいをし、ゴッホは発作的に自分の耳を切ります。最終的には自殺をし、37歳の若さで亡くなっています。
「僕は小市民として、自然の中に深く没入しながら、段々日本人のような生活をしていくだろう。ぼくがかなりな老齢までいきのびられたら、タンギー爺さんみたいになるかもしれぬ」
誰も自分の寿命などわかりはしないのです。
この本は1998年刊行です。この頃はまだ長嶋家の家族の一帯は保たれていました。亜希子夫人が2007年亡くなったときから、家族間がギグシャクします。長男一茂とテレビスポーツ記者の三奈とが財産管理で対立し、次男の正興や主婦の長女有希はこのいざこざから遠ざかっています。長嶋は田園調布の家に一人で住んでいるのでしょうか。
この本が書かれた時代では、一茂がポロ野球に入り、三奈がテレビ朝日のスポーツキャスターになって、長嶋家にとって一番いい時代だったでしょう。一茂は野球選手としては芽が出なかったが、タレントとして成功しています。三奈は長嶋家の財産管理の事務所で働いています。長嶋監督には長く生きていてもらいたいものです。
現在風呂のない家はありませんが、昭和時代までは風呂なし共同便所というところはいくらでもありました。ましてや江戸時代風呂のある家はお大尽の大金持ちの家しかありません。絵で見ますと、大樽の下の方に穴を作り、そこに鉄や銅の焚口をはめ、その煙突を風呂桶の中に通しているのです。川柳でこのようなものがあります。
鉄砲へ抱きつき下女はさねをやき
鉄砲はとこの煙突のことです。
江戸の銭湯は他の場所で湯を沸かし風呂桶に入れていました。風呂屋の商売も楽なことではないようです。おまけに床もタイルではなく、木材ですから、ぬるぬるし、終わった後磨かないといけません。最近温泉宿の大浴場の掃除がなっていないということで大問題になりました。マスコミに騒がれてとうとうここの社長は自殺してしまいます。ある面かわいそうな気もします。
宗教法人は諸官庁の「認可」ではなく、「認証」ですむのです。それもまた寄付が溜まって財産やら壮大な建築物ができたりすると「認証」するだけで、カネもなければ財産もない宗教法人は「認証」など関わりありません。「認証」とは宗教上の建物など固定資産税がかからないということです。だから今問題になっている統一教会の「認可」を取り消せというのは、そもそも間違いです。「認可」などしていないのですから。「認証」を取り消して、固定資産税をとることはできますが、宗教活動をやめさすことはできません。相変わらず価値のない壺を売って寄付を募るということはできます。日本人の経済活動を見ますと、無駄遣いをせず、貯蓄に回そうとします。株とか投資に向かわないようです。仏教か儒教の精神からあまりにも金銭に執着するのは控え気味です。普通の人ですらこうなのですから、「貧病争」に見舞われた人が新宗教にはまると、カネがないのに借金までして寄付したりします。結局「貧病争」が世代間に渡って続きます。島田裕已は世界統一教などの新宗教のやり方はマルチ商法と同じだと結論付けています。儲かるのは教祖とその取り巻き連中だということになります。
1920年以降の巨大なマフィアができる前の、20世紀をまたにかけての数十年間、ブラック・ハンドと言われる移民イタリアの犯罪者が、同じイタリアの成功した商店主らの子供を誘惑し、金銭を要求する犯罪を行っていました。日本のヤクザと同じように、みかじめ料をとったりもしています。払わないと殺されたり、爆弾を仕掛けられたりします。この本の主人公・ペトロシーノは9歳の時にアメリカに来た移民イタリア人です。靴磨きなどしていましたが、警察官に採用され、ブラック・ハンドに対して容赦のない捜査を行います。犯罪者のリストを作るためにイタリアに出張に行った時、銃殺されます。彼の葬列は大統領に引けをとらないくらいものだったそうです。一介の刑事でもこのように敬愛されているところをみると、彼は仕事をいかに熱心にやっていたかがわかります。1920年代禁酒法ができて、極小のブラック・ハンドが強大なマフィアに成長します。もうここではイタリア人相手ではなく、全アメリカ人に対しての犯罪を行います。それがとうとうケネディ暗殺に関与したという噂にもなります。現在ではメキシコやコロンビアのマフィアも加わって、覚醒剤の販売で死者が続出する状態になっています。