縄文後期と300年代の弥生後期に寒冷化が起こっています。縄文後期では抜歯などの風習が強化され、弥生後期の300年代では、それまではやめられていた鯨面=入れ墨が復活しています。魏志倭人伝には日本人の男は全身に入れ墨ばかりだったと記されています。このことは著者によるとこのように解説されています。
「あらゆる災難は、社会統制をの強化を促すという普遍的な原理からすると、入れ墨や抜歯という通過儀礼の強化は危機的状況の増幅に対する社会統制の儀礼が厳しくなったことを物語る」
特にこの300年代は大乱が起こった時代で、武器による殺傷の人骨が多く出土しています。寒冷化でコメができなくなって取り合いをしたのでしょう。おまけに中国へ使者を差し向けたり、朝鮮半島からも人が入ってりして、今でいうグローバリゼーションが起こっています。それゆえに敵味方をはっきりするために入れ墨などを復活して、共同体意識を高めようとしたのでしょう。
2020年この本が出版され、同時にコロナのパンデミックが起こった年です。グローバリゼーションの行き過ぎも問題になった年でもあります。まさか入れ墨や抜歯が復活することはないと思われますが、どうも気がかりな点が著者にもあるようです。民主主義を多少かじったとしても、このような状況下で再び日本人の悪い癖が出ているのではないかと心配しています。自主警察に示させているような隣組の復活や、密告の奨励、戦前の大政翼賛会の復活です。民主主義とは「話し合い」のできる社会組織を目指すものなのですが、話し合いより大勢になびきやすい性格を持っている日本人ですから、個々はおとなしいやさしい人が多いのですが、大勢になると、ロシア人、北朝鮮、韓国人、中国人に負けないくらい「話し合い」のできない国になるのではないかと心配です。