明代の思想家。儒学の道徳的の面を哲学的なものに変えたという人です。陽明学の要旨は、この「四言教」にまとめられています。

「善なく悪なきは是れ心の体」

「善あり悪あるは是れ意の動」

「善を知り悪を知るは是れ良知」

「善を為し悪を去るは是れ格物」

私なりに解釈すると、第一番目は、赤ちゃんの時である。二番目は青春時代である。三番目は、世間を知った中年である。四番目は、元オリンピック会長の森氏のように冗談でも女性蔑視ととれる発言をしないことである。陽明学は書斎でぶつぶつ言うのではなく、社会に出て、悪いことは直し、いいことを広めていこうという行動哲学なのだと思われます。

明代の創始者は中国史で唯一名もない浮浪者出身です。苦労しただけに、酸いも甘いもわかっています。その息子の永楽帝も傑物です。中国領土の図版を最大限広げた皇帝です。でもその後は大した皇帝は出ていません。王陽明が生きていたころの皇帝は武帝ですが、十代から後宮漬けでセックス三昧です。政治は宦官に任せます。後宮だけでは物足らず、市中に出て、ちょっとでも美人だと強姦しまくります。いくら王陽明が謀反を平らげても、宦官などのよってかえって左遷され、途中で殺されそうになります。武帝が死んで、宦官が一掃されると、再び王陽明にベトナムあたりの蛮族平定の命が下され、持病の肺結核が悪くなり、帰還の途中で亡くなります。５７歳でした。