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この本は2012年08月17日に読んでいます。本の半ばで、これは読んだ事があるなと気づきました。二度と読まないためにこの読書録をつけているのですが、トシのせいか記憶が薄くなってきているようです。
なぜこの本を図書館で手にとったのでしょうか?この前の日曜日姪の結婚式に豊橋まで行きました。そこにはかつては子供だった甥や姪に子供ができ、お父さんお母さんになっているのです。年代的に言うと、私は祖父の代になっていたのです。自分ではまだ若いつもりでしたが、遊びまわる孫の世代を見て、もはや私にはあとがないのだなと気づかされました。結婚式場で家族の写真をとりました。やがて甥や姪の子供が結婚する時には、私はその結婚の家族写真には載ることが出来ないでしょう。私の父母が作ってくれた墓の中に入っているはずです。今のところ、墓の石版には唯一私だけが赤い字で書かれています。まだ生きているからです。やがて父母、兄、妹同じように黒に書き換えられると、私は灰になってこの墓にいることになります。葬式は私の友達が葬儀屋をやっていますから、「焼くだけ」の葬式を申し込んでいます。私はもともとケチですから、葬式にカネなどかけたくない。10万円ちょっとですむはずです。10万円の石油代は高いかなと思いますが、施設の利用などでまあ仕方がないかと思います。ペットの犬猫の葬式代も5万円くらいするのですから、その程度の金額は妥当だと思われます。
結婚は新しい生命を生み出しますが、同時に古いものを一掃する儀式でもあります。いつまでもこの世にしがみついてはみっともない。粛々として墓に入る練習をしないといけません。そのヒントのために、この本を手に取ったしだいです。
俳優高倉健の父親は伊藤傳右衛門の炭坑の労務係をしていました。若い時から相撲で体を鍛え、炭坑の荒くれ者を取り締まっていました。やくざ的な気質をもたないとこの仕事はやっていけないでしょう。
伊藤傳右衛門の父親も目明しをしていました。目明しとは犯罪を取り締まる仕事でありますが、同時に犯罪者と密に連絡を取り合う仲間でもあります。江戸幕府が終焉して、魚屋をやったり、船頭をしたりします。それから石炭を取り出す仕事を始めます。彼の目明しとしての能力がこの仕事によって生かされます。多くの無法者を使って地下から石炭を掘り出します。この父親によって資産が形成され、息子・伊藤傳右衛門がそれに輪をかけて発展させたのです。勿論伊藤傳右衛門も子供時代から父親の手助けをしています。お坊ちゃんではありません。酒を呑んだらアイクチを振り回す労務者を相手にしていたのです。文字は読めないといっていましたが、若い時から生身の人間と対峙して、度胸や処世を身につけていったのでしょう。経営者というよりヤクザの親分とイメージが強い。
先妻が亡くなると、華族の娘・柳原燁子と結婚します。柳原燁子は出戻りですが、27歳で、美人、かつ名の知れた歌人、雅号は白蓮と名乗っています。結納金2万円(現在に換算すると6000万円)を払ったと噂されます。伊藤傳右衛門は記者を眼の前にして言っています。
「伊藤傳右衛門は九州の炭坑でも、無教養の男でも、炭堀には炭堀だけの人格がある積もりです。金で買った結婚などといわれては、柳原家に対する大侮辱は勿論、この傳むねの男が廃れます」
ところが何年かして、燁子自身が伊藤傳右衛門から逃げ出し、絶縁状でこう言われます。
「この手紙により私は金力を以って女性の人格的尊厳を無視する貴方に永久の決別を告げます」
燁子は東大卒の弁護士と一緒になります。これに対し、伊藤傳右衛門は何も非難がましいことは一言も言っていません。
当時の世相では身分違いの結婚をしたということで、伊藤傳右衛門のこの悲劇を喜んでいた節があります。普通のヤクザの親分なら、燁子の相手・宮崎滔天の息子・宮崎龍介にヒットマンを送っていたでしょう。そうしなかったということは炭堀には炭堀の人格が練れていたということです。たとえ教養がなくても、美人のために義憤に燃え、社会正義を気取った宮崎隆介よりは器が大きかったということになります。
この本はNHK出版で、後付に麗々しく校閲・酒井正樹とかかれていますが、206頁、「さらに1847年(昭和22年)には・・・」の、1847年は1947年でしょう。何しろ私が生まれたのは1947年で昭和22年ですから、これは明らかに間違っています。次の版からは訂正しないと。私も結構間違いますが、本のちょっとしたミスを見つけるのも私の趣味の一つです。出版不況でこれらの仕事も杜撰になっているのかもしれません。
日本で最高に成功した占い師は池田勇人だそうです。所得倍増論をぶち上げ、それもいつ達成するかは言わないで、「私は嘘を申し上げません」と堂々とした口調で宣託したのですから、国民は乗せられ、結局予言どおりになりました。ノストラダムスとその信奉者は1999年の「人類滅亡の年」と区切ったのが失敗です。池田勇人のように漠然といい、年月を決めないのが肝心です。また将来明るいといったほうが、より皆から好まれるということでもあります。それに時代も池田勇人に味方していました。高度成長時代が始まったからです。今のアベノミクス時代、将来日本の繁栄がくると言ったって、誰も信用しないでしょう。
島田裕巳はオーム事件の時、他の学者から研究者より出前持ちになったほうがふさわしいと非難されていました。テレビで学者は後先なしに職業差別のけれんのある発言をしたのですが、全国の出前持ちたちはこの発言をどう感じたことでしょうか。学者の方が出前持ちより高尚かもしれませんが、高尚の方がそれをいっちゃあ、高尚な人だと思えなくなります。普段職業に貴賎はないと言いつつも、いざ興奮して内心のことが出るようでは、いくら博学で優秀な学者であろうとも、こいつは人間的にいまひとつ修養ができていないヤツだと思われても仕方ありません。
精神科医は精神科の患者と同じようなものであるから精神科医になったと言う説があると、春日自身が言っています。また春日自身も、親が豊かなのでコンビニでアルバイトなどしたことがなく、たぶん小さいころから勉強をし、親の言うとおり、医学部に入り、すんなりとそこを卒業したのでしょう。社会的経験も乏しく、医学書で聞き知ったことと、臨床で出会う患者の状況を見て、人間と社会はこういうものかと想像するだけです。たぶん性の悪い女と出会うこともなく、知的レベルと同じ育ちのいい女性と結婚もしているのでしょう。身内にはヤクザもいなければ、売春婦などもいないでしょう。精神病患者はある面精神の狭窄であるのですから、医者になるためには一心不乱に勉学をし、長い隔離をしいられるのですから、これも一種の精神の狭窄であります。おなじ精神の狭窄者でありますが、一方は人生の脱落者、一方は人生の成功者と別れるのはおもしろいことであります。
精神病患者の考えることは妄想といわれ、精神科医が考えることは学説といわれます。フロイトの学説も今では妄想ではないかといわれています。最新の精神病の学説も将来には妄想であるといわれる可能性もあります。医学の治療法には毒には毒をもってというものがあります。精神病患者にはその素質を十分に持っている精神科医を当たらせると効果があるというのも頷かされます。
「妄想」は「物語」と言い換えることが出来ます。「破綻をきたした物語」は妄想といわれますが、この妄想で精神病者はある種の安定を得ています。たとえ間違っていても「天動説」に安住すると、それによって世の中のことが説明することができるような気になります。中世はこれで1000年も続いていたのです。それが突然地動説と言われたら、天地がひっくり返る思いがするでしょう。天動説から地動説に変えることは精神病学的に言えば、「人格」を変えるということです。精神病が「治る」ということは脳がそっくり入れ替わると同じことです。これはとても難しいことです。新しい地動説に慣れるためには「現状との和解」が必要となり、そのためには「長い時間」がかかります。だから春日は精神病は「スッキリ治る」ことはないと言っています。
マイケル・ジャクソンもマイク・タイソンも訴訟社会のアメリカでカモになっています。何やかやといちゃもんをつけて、カネをむしりとろうとする輩が多すぎます。日本もその傾向になりつつありますが、アメリカほどではないでしょう。特に最初の妻ロビンとその母親ルースはひどいものです。タイソンを「カネのなる樹」だと思っている節があります。タイソンの話が本当とすれば。威張りちらして、銀行や投資会社に行きタイソンのカネを引き出しています。これを見ると、日本で文化勲章を受章しているとき、後ろに立つ日本の妻が、こんな木偶の坊を私がこんなにしてやったんだというところがちょっと見えたにしても、まだまだ慎ましいところがあります。また意図的にタイソンに近づき、タイソンに強姦されたと訴え、賠償金を取ろうとしています。実際タイソンは強姦罪で服役を余儀なくされています。
最初のコーチ・カスはタイソンに「大金を稼げば、たくさんの女をもてて幸せになれる」と言っていました。そのためには練習して強くならねばならぬと言うだけです。強くなり、大金が入り、女がたくさんできて、その後どうなるかは言っていません。鮮烈なデビューした後カスは死んでしまいます。その後詐欺師のようなプロモーターがつき、タイソンからカネをむしりとっていきます。タイソンも派手につかいましたが、最終的には莫大な借金が残った状態になっています。タイソンは酒やコカイン、麻薬、女にのめりこみます。練習をおろそかにし、太り、やがて格下のボクサーにも負けるようになります。
多くのボクサーがチャンピオンから脱落してから、老年悲惨な状況になっている人が多い。一歩間違えばタイソンもそうなっていたかもしれません。子供が一人死んだことで、覚醒します。平凡ことですが自分の次世代のことを考え始めてのことです。でたらめでは次世代は育たない。タイソンが育った環境では多くの男がギャングや麻薬の売人になり、若くして殺されたり、病気なったりして死んでいます。タイソンの母親はタイソン継父に煮えたぎった熱湯を頭からかけるという方法でしか愛情を表現できない女性でした。この継父はナイフを持って妻を追いかけるといった男です。タイソンも盗みやかつ上げを少年時からやっています。少年時代の生きかたも、チャンピオンになってからの生きかたもある面同じような生き方だった反省しています。
「昔は華々しく派手なことばかりやりたがった。だから一文無しになったんだ。栄光、栄光、栄光、そればっかりを求めていた。名誉を勝ち取ることだけが目標だったが、時が経つにつれて、名誉は勝ち取れるものではなくて、失うものでしかないということに気がついた」
たまたまゲストででた映画ヒットし、タイソンは俳優として生きていきます。それに講演会などを開き、それでカネを稼いでいます。一回のファイトで何十億稼ぐということではなくなりましたが、妻キキと子供たちと幸せに暮らしています。そうしてタイソンの一番の趣味は本を読むことだそうです。今読んでいる本は「世界最高の手紙:古代ギリシャから20世紀まで」です。ナポレオンがジョゼフィーヌに送った手紙をみて、タイソンはかつての悪妻ロビンを思い返しています。