80年代、証券界の寵児たちが一斉に捕まっています。インサイダー取引です。証券マンは自分で口座を持ち、株の売り買いはできない法律になっていますが、それをやって捕まっている人もいます。あらかじめ会社の動向を知っていれば、たやすく株を売買し儲けることができます。同じ会社の仲間ではなく、他社の会社に友達を作り、情報を交換して、「経済紙」より一日前に情報を知ることで稼ぐことができるのです。天才相場師と言われた人も、単に情報を早く手に入れて人にすぎません。そのようなシステムを作るまでは大変だったかもしれません。作ってしまえばどんどん金が入ってきます。デカプリオのウォール街の映画にもあったように、トレーディング事務所に素っ裸のストリッパー数人を入れ、株の売買の命令を電話で出しながら、同時にストリッパーの乳房を吸ったりしていたいう乱痴気騒ぎをしていいました。ハーバード大学を出た若造が、二年目には給料が2000万円以上になりボーナスも成績次第では一億を超えるとなると、つつましい道徳的な生き方はできなくなるでしょう。ここで捕まった大物の一人はカルホルニア大学の卒業式に呼ばれ、「私欲は検算な者であり、金を儲けることはいいことである」と演説して、拍手をもらっています。
裁判になって妻ともども犯罪者も泣き崩れています。妻たちは今までの贅沢な暮らしができなくなるので悲しいでしょう。夫たちは何年間懲役刑に服します。最初に早く罪を認めて、内部告発をした人は数か月の懲役で済みました。反対に認めなかった人は10年の懲役刑を受けています。
コロナ禍で、日本でもアメリカでも株が上がっていますが、金余りで実体のない相場なのでしょう。数々の失敗が歴史に刻み込まれているにもかかわらず、ギャンブル経済にのめりこむ人が多いということは、健忘症のせいでしょう。