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2015年パリの風刺漫画新聞社がイスラムのテロ集団に攻撃され何人も死んでいます。これら風刺漫画の出発点は19世紀です。バルザックやボードレールが生きていた頃です。フランス革命で王権が倒れ、19世紀に入り、政権が次々と変わっていくときに、政治漫画がパンフレットや新聞に花を添えていたのです。まだできていない写真の代わりをしていたということにもなりますが、写真以上に当時の人々に喜びと笑いを提供していたのです。なにしろ極端にデホルメされて、その人物の特徴をよくとらえ、思わずふき出すような漫画になっているからです。アリストテレスの時代から動物の顔から人間の顔に比し、牛顔、ライオン顔、キツネ顔等々、それに似ていれば、牛なら間抜け、ライオンならえばりくさった人、キツネならずるい人というような観相術がはやっていたのです。バルザックは小説における人間百科を観相術に則した文章で綴り、同時に挿絵にもそれに似合うような人物を描いたものを載せていました。明治時代にもフランス人のビゴーという漫画家がいまいた。日本人の特徴を誇張して描いていて、出っ歯、蟹股、挙句の果ては猿そのもののように描いています。今見ても笑ってしまいますが、同時に腹立たしい気持ちにもなります。フランス本国では漫画家・ドーミエが有名で、政治家・ルイ・フィリップの顔を西洋梨の形にして、とうとう検閲で西洋梨を描くことすら禁止になりました。
フランスには日本の漫画の愛好者が多いとききます。写真ではできないもの、デホルメされたことでその人物の内面が現れるのではないかという期待があるのかもしれません。