ペトリ・レッパネン ラリ・サロマー はフィンランド人で、この国の人は結構コーヒーにうるさいようです。消費量も断然多い。この二人がブラジルに行き、有機農法でコーヒー園をやっているところへ見学に行って、この本が出来上がりました。この農園主は量よりも質ということで、化学肥料と農薬をやめて、有機にし、ブラジル産のコーヒー豆をブランドにした人です。それまでのブラジル産は安かろうまずかろうという評判でしたが、有機農法をやり始めて、徐々にその真価が認められるようになったのです。コーヒー豆には二種類あって、アラビカ豆とロブスタ豆、アラビカ豆のほうが高級ですが育てにくい。ロブスタ豆は味は劣るが育てやすいという違いがあります。インスタントのコーヒーはこの安いロブスタ豆です。はじめはこの農園主も量で儲けようとしましたが、バイヤーに買いたたかれて少しも利益が出ません。使用人もやめていき、家族だけでやるようになりました。有機といっても、人手がいないものですから、化学肥料や農薬など金や手間のかかるものはやめ、コーヒー園を自然のままにしたのです。かつては森林を伐採し、平地にしてコーヒーに木ばかりを植えていましたが、日影ができないものですから絶えず水をまき、害虫の駆除までしないといけません。しかし自然のままにしとけば、他の木も育ち、それが影になり、水やりも頻繁にしなくてもよくなり、害虫だって天敵も出てくるのですから農薬をまく必要もありません。
しかし地球の温暖化はコーヒーの木に重大な影響をあたえています。たとえ熱帯の木であろうとも、温度が上がると今までできていた土地では収穫できなくなり、もっと高いところに作付け面を移動しないといけないようになります。耕作面積が少なくなってきているようです。反対に消費量は増え、将来的にはコーヒーは金持ちだけの飲み物になるでしょう。貧乏人はコーヒーに似せた化学薬品製品を飲むことになります。