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岡田泰男 アメリカの夢 アウトローの荒野

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岡田泰男 アメリカの夢 アウトローの荒野


ジェシー・ジェイムスは南北戦争時代に生きた人で、兄のフランクと一緒に銀行強盗、鉄道列車強盗をした男です。10年以上も捕まらず、最後は賞金欲しさの仲間に背後から撃たれて死にました。兄はその半年後新聞記者に付き添われて出頭しましたが、裁判では無罪になります。この兄弟は何人もの銀行員や鉄道員を殺していますが、この兄弟が生まれた地・南部では英雄視されています。鉄道事業は北部の資本家がやっているもので、鉄道を通すとなると、土地は取られ、町の住人はその建設のために税金が課せられたりしました。銀行なども弁護士と手を組んで、零細な農業主から借金が払えなくなると土地を取り上げたりしていました。ジェシー・ジェイムスはそういう状況の中で金持ちから金を巻き上げ、貧乏人に恵むという噂がたったのです。実際はただの強盗だったかもしれません。しかし貧しい南部の人たちはそう思うことで自らを慰めたのでしょう。それが世紀をまたげ、20世紀になるとアル・カポネの時代になります。遅れてアメリカに入ってきたイタリア人がマフィアを作り、汚い商売で金を儲けだし、豪勢な暮らしをし始めます。先にアメリカに入植していたイギリスや北方系のプロテスタントは、カソリック系の「イタ公」の堕落に満ちた犯罪生活を見ると、かつてピンカートン探偵社を雇ってまでもジェシー・ジェイムスを捕まえようとしたにもかかわらず、自分たちの同類であるジェシー・ジェイムスの犯罪はアル・カポネの問答無用な犯罪と違って義賊のようなものと思いこもうとしています。ということはもうこの時代になると、フロンティアの領域はなくなっていて、気まずいながらも多民族と折り合いをつけて生きていかない状況になり、このような煩雑さからの息抜きのために、かつて自由に西部の荒野を馬で駆って、好きなことができたという時代に郷愁を感じたからでしょう。
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