19世紀前半、バルザック、スタンダール、フローベル、モーパッサンなどによって完成された小説群は、19世紀後半から20世紀前半にかけて、それ以上の傑作はもうできないとわかると、フロイトの影響もあって、荒唐無稽な夢を記述するようになります。ダダイズム、シュールレアリスムといわれるものです。シュールレアリスムの映画は結構面白いものですが、それを言葉でやられると、わけのわからないものになります。脈絡のない独りよがりの文章ですから、意味が取れません。このミッシェル。カルージュ の本はそれらの批評論ですからますますわからなくなります。わかる人もいるようですが、大方の人はわからないでしょう。フロイトの夢理論は性的欲望が形を変えて夢に出てくるのだということらしいので、こういう解釈もあるのだと思いますが、シュールレアリスムでは単純にフロイトをなぞっていたのでは芸がないというので、わざと込み入った文章に仕立て、奥にはもっと深いものがあるのだといったそぶりを見せています。実際は疲れた脳が作り出す脈絡のない夢にすぎません。これ以降文芸の衰退時期に入ります。現在小説を書こうとする人は、女子、子供だけです。この斜陽産業に大の男は参入しません。もしそのような男がいるなら、その男は社会に伍して生きていこうという勇気のない人間かもしれません。いずれにしても女々しい男です。