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赤瀬川原平 仙人の桜、俗人の桜

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赤瀬川原平 仙人の桜、俗人の桜


       交通公社とタイアップで赤瀬川原平があちらこちらへ行き、印象記を書き、バブルの余燼さめやらぬときですから、本の装丁もそれなりにしっかりしたものになっています。このような企画が赤瀬川原平にもたらされるということは、彼の文章が飄々としておもしろく、変に角がとがったところがなく、そつなく器用に、注文主に沿うような文章をまとめることができるからです。彼も若い頃は一万円札を模写し、警察に事情聴取されたこともありました。若い時は誰しもとがっています。それからおいおい世間がわかってきて、天皇何するものぞといっていたものが、やがて正月皇居に行き、万歳を三唱して、涙がにじみ出たりするのです。成長といえば成長、老いたのかといえば、そうかもしれません。老いても若い時の考えが変わらぬというなら、それらは若い頃ゲバ棒を振るっていたグループの幹部だけでしょう。ゲバ棒幹部から資本主義の走狗といわれようとも、交通公社や出版社から金と交通費をもらい、土地土地の老舗料亭で旨い魚と酒を呑み、それを文章にし、またその本が売れればこれにこしたことはありません。晩年は死を前にして悲惨な考えになりがちですが、赤瀬川原平ほどの才能が無く、日々太陽があがってくるのを目にして、今日も生きていると思えば、たとえただ飯が食えなくても、自分は幸せだといい含めることが必要であると思われます。

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