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読書

アービング・ストーン アメリカは有罪だ 上


    20世紀の初頭のアメリカは、西部劇の時代をやっと抜け出した頃であり、資本家だといっても、若い頃はインディアンを殺戮してその土地を奪ったり、黒人を酷使し、言うことをきかないとリンチしたり、牛泥棒をしたりして豊かになった人か、その人の息子や娘です。弁護士ダロウと敵対した炭坑主は、労働者を低賃金に抑え、それらの子供も炭坑で働かないと生活できないようにし、それも一日14時間も働かせ、会社直属の店でしか必需品を買えないようにし、その値段も二倍も高いというもので、二重も三重も労働者を搾取しているという資本家です。社会主義的な考え方をする人、共産主義者、無政府主義者など、このような社会を変えていこうという人が出てきます。この炭坑でも労働組合を作ろうとしたら、この炭坑主は、州の軍隊を知事に頼んで出動させたりします。とうとう事件が起こります。浮浪者が知事を射殺してしまいます。この浮浪者を炭坑主は労働組合壊滅に利用します。つまり労組幹部に頼まれて知事を殺したというストーリーを作ったのです。これには炭坑主からカネをもらったピンカートン探偵社の社員などが、うその証拠集めをしたり、証人を拵えたりします。この頃のピンカートン探偵はろくなものではなく、身分を偽って労組に入り、その情報を流したり、第二組合の労働者を殴ったりしてなどの過激なことをやり、警察の介入を招いたりしています。かつて日本でも三池炭坑でヤクザがクギのついた棒で労働者を殴っていました。ピンカートンの探偵もヤクザと同じことをしていたのです。弁護士ダロウは労働者幹部三人の冤罪を晴らし、無罪の判決を勝ち取りました。上巻は後もう一つの裁判のことを書いていますが、若い無政府主義者であり、労組の支援を受けたダロウであっても、本人たちが罪を犯したと主張するので、首縛りから懲役にするのがやっとでした。

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