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読書

ロバート・J・シラー 根拠なき熱狂


    この本が書かれたのが2000年、株価と配当率のグラフを見ると、1880年代から2000年まで配当率はなだらかに上がっていますが、株価は1980年から2000年にかけてほとんど垂直な崖のように上がっています。これを著者は「根拠なき熱狂」といっているのです。かつてオランダでチューリップの一個の球根が家一軒文の値段になったバブルがありました。このバブルのおかげで貴種のチューリップの球根もできましたが、多くの人が破産しています。著者はチューリップと同じように株価もはじけるのではないかと心配しています。現在は2018年ですが、アメリカの株価はいまだに「根拠なき熱狂」を続けています。

株価について経済学者は合理的な説明を見つけようとしていますが、その説明はいまだに見つかりません。有為転変する人間の欲望を理性でコントロールすることができないことと同じです。カネを儲けたいという欲望が株を買ったり、売ったりさせているのでしょう。来年は日本の株価は大幅に下落するだろうという噂があります。アメリカも同じようなものです。人間の欲望に支えられた株価なのですから、砂上の楼閣というべきものです。一人ひとりの欲望が一個の砂粒ですから、いつ何時崩れさるかもわかりません。アメリカでは年金など個人責任でやっていて、大方は株式に投資しています。株価がはじけると、彼らの晩年は悲惨なものになります。日本では年金機構が株を買っているようですが、破綻したら我々の少ない年金はますます少なくなるでしょう。破綻しないように政府や日銀が株を買い支えているようですが、企業実績と合わない「根拠なき」支援は、ツケを後回しにし、最後には大破局が来るのではないかと心配です。

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