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佐藤忠男 映画で日本を考える

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佐藤忠男 映画で日本を考える


     明治時代以降あらゆるものが欧米の影響を受けています。最新の文化である映画も、最新である故にもっとも影響を受けやすいものです。日本映画のジャンルの一つである「股旅物」も1910年代、20年代に活躍したアメリカの俳優兼映画監督のウィリアム・S・ハートの西部劇映画の影響を受けていると佐藤は言っています。そういえば江戸時代に興行された歌舞伎で幡随院長兵衛でも女が絡んでどうのこうという話ではありません。町方ヤクザと官製ヤクザ(旗本奴)とのケンカで、「怖れて逃げたといわれちゃあ、名折れになる。人は一代、名は末代」といきがっているだけです。和解の席が罠だと知っていても相手側の家宅に乗り込み、風呂にはいって「フルチン」のときに刺し殺されます。そのとき見得を切って、「人は一代、名は末代」と叫ぶのでしょう。「よっ、日本一」と観客は歓声を上げます。単純なものです。ところが西部劇が入ってくると、荒くれ者のヤクザが美人に出会って、今までの自分の生き方を恥じ、「真人間」になろうとするストーリーになってきます。これも元を正せば、ヨーロッパの騎士道につながるというのです。日本のヤクザ映画は武士道ではなく、騎士道にえらく影響を受けているということです。日本映画の黎明期の映画の監督はとりわけ西欧文明の影響をもろに受けている人たちですから、この考え方には大いに納得されるものがあります。のちのち高倉健が主演するヤクザ映画が騎士道のリメイクだとはなかなか気づきにくいでしょう。佐藤忠男は寅さん映画でも、寅さんは童貞なのかと疑問を発し、なかなかの慧眼の持ち主であります。ウル覚えなので、佐藤忠男がそういったかどうかははっきり断定できませんが、彼ならそういうことも言うだろうと思われます。

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