貧乏人の倅で中学卒で、散々苦労し、高知の産業廃棄物処理業者に社長になった成功談です。この本は昵懇の新聞記者に書いてもらい、広島市立図書館に社長自ら献本しています。

前田薫がこうまでも頑張ったのは広島でのつらい経験があったからです。マツダの宇品工場に勤めていた時、宇品の電車通りの洋菓子店の娘と仲良くなります。結婚の承諾を得るために父親に会ったところ、身元調査をしていたのでしょう、貧乏の親で、親父は何度も女房を替えていたということが調べられていて、娘の父親から家の格が違うと言われてコップの水をかけられたということです。マツダをやめ、一時ノイローゼになります。この屈辱を忘れるために、昼はチリ紙交換、夜は焼き芋の屋台を引っ張ります。このようなことを何十年間も続けると知恵がついてくるのでしょう。倒産しそうなときもありましたが、高知で名の知れた産業廃棄物業者になります。今では銀行の方からカネを使ってくれと催促されるそうです。やけを起こして広島の洋菓子親父を殴るようではこの成功はおぼつかないでしょう。人間辛抱が肝心だとわかります。