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明治の博覧強記の男・南方熊楠はキューバを放浪中、チャリネサーカスに拾われて、象が乗る碁盤を出すアルバイトをしています。チャリネサーカスには何人もの日本の芸人が雇われていました。南方熊楠はこれらの芸人に対して自らの語学力を生かして、手紙を読んだり書いたりして、小金をもらっています。イギリスに渡った後も、熊楠はサーカス芸人の美津田滝次郎と頻繁に会っています。最近の日本の若者は海外に出て勉学でも仕事でも活躍しようとする人が少なくなっているようです。エール大学の日本の留学生は2013年には一人しかいなかったようですが、韓国や中国は何百人も留学しています。明治時代では熊楠のような個人留学する人も、官の肝いりで留学する人も、これらサーカス芸人のような人も結構多かったように思われます。もはや海外で何も学ぶべきものがないという人もいますが、世界の共通言語は英語なので、世界に打って出ようとするなら、英語を自在に操れるようでないと無理でしょう。減少する日本人相手だけの商売ではおのずとジリ貧になるでしょう。
明治のサーカス芸人にはロシアに妻子を持ち根付いた人もいます。しかしこれらの子孫はロシア革命やスターリン時代に辛酸をなめたり、反逆罪で銃殺刑にあった人もいます。世界史に載るような人の話ではないけれど、しがない旅芸人の足跡をたどっていって、綿密な考証を続ける奇特な人も世の中にはいるのだということに感心します。
「安田喜憲・一万年前」で「温泉に入ることを拒否する珍事」とは何のことかと私は書きましたが、店に来たお客さんから、よく温泉の入り口には「刺青のかた、お断り」という立て札が立っていて、要はヤクザお断りなのですが、唇に刺青をした「ニュージーランドのマリオ」の人々も刺青をしていることで一律に入浴拒否をされたという意味だと言われました。この文章から、最近日本人は温泉に入ることも嫌いになったのかと私は思っていたのです。何ともしょぼい読み方をしていたものです。