功成り名を遂げた人物の自叙伝を読むのも面白いものですが、功もない名もない人の経験談もまた面白いものです。ましてやホームレスなど経験した人はあまりないでしょう。日本も貧困率が高いのでそのラインに近い人は多くいるでしょうが、けなげにも歯を食いしばって生きている人が多い。外国など食えなくなると犯罪に走ります。川上武志は私と同じ年です。今では後期高齢者になっています。この本は２，３年前のことですが、まだ働いているのでしょうか？東京都の台東寮はホームレスを６か月間預かり、食事と小遣いまで支給し、就職の世話をします。ある程度目鼻がつくと、「カリアゲ」と言って、寮から出て、都指定のワンルームマンションに入り、一人住まいをし、それから民間のアパートを探し、借りて自立していくのです。川上武志は若い頃タイに行ったりしています。放浪癖があるのでしょう。静岡県の浜岡原発の労務者をし、そこでの生活を記した本をアマゾンの電子書籍本にし、細々ながら印税が入ってくるのです。彼が寮を出るときには２７万円も溜まっていました。なかなかのもんです。