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読書

川崎昌平 ネットカフェ難民


         川崎昌平は芸大の大学院を出て、引きこもり、ニートをへて、25歳にしてネットカフェ難民になり、日雇いをしたり、時には金持のお嬢様の絵の添削もして、生活しています。「最底辺生活」と書いていますが、「ホームレス」より一段上でしょう。何しろかっちりした屋根のあるビルの中で寝泊りできるのですから。彼もホームレスとの違いを別の角度から述べています。私はネットカフェ難民の方がホームレスよりましかと思いましたが、川崎昌平によると、断然ホームレスの方が尊敬に値するということになります。

「ニートは、どだい、失うものが無い。社会的地位も、仕事での業績も、家族も、財産もない。要するに、何も失えない。失踪するのもホームレスになるのも、それまでの人生とその生活において、懸命に戦っていた立派な人にのみ、許される技なのである。したがって、ネットカフェ難民にホームレスの尊称は不似合いであるばかりか、不適切な表現でもある」

大学院を出ている人の言うことは常人とは違うようです。「格差」についても、私は単純にカネの多寡かと思っていますが、違うようです。

『本当の格差とは、文化にこそ表れている。お金がある人と無い人がいるから「格差」なのではない。より多くの文化に触れられる人間と、そうでない人間の差が、本当の格差なのである。前者は多様な価値と解釈を学ぶことができる。後者は選択肢は少なく、強いて言えば、マスメディアが用意してくれたものを咀嚼することができる程度。だが、自分の意志で出あっていない文化の効用は薄く、意義はもっと薄い』

負け惜しみだと思われますが、いやいやながら仕事し、あとはテレビでプロ野球の勝ち負けに一喜一憂するサラリーマンより、川崎昌平のようにカネはあまりないが、時には美術館にいけるような自由時間がある人間のほうが上等ではないかと言っているようです。そして高らかにこう宣言しています。

「ネットカフェ難民は上手にパンを買えない人間ではなく、世の中にパンよりも意義のある何かがあることを知り、あるいは求めている人種である」

もし何らかの事情で私がホームレスやネットカフェ難民になったときに参考になるアドヴァイスもあります。新聞紙をくしゃくしゃにして胸元に入れれば、保温材になります。

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