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読書

斎藤美奈子 成田龍一 1980年代


     日本が最も輝いた時代です。東京都の土地の価格でアメリカ全土が買えると豪語していました。ところがあっという間に終わり、それから「失われた」何十年間となるのです。マハラジャなどのディスコの店ではど派手な衣装で、女たちが踊り狂っていました。それを見に男たちも集まってきます。あっという間に時は過ぎて行き、あの太もも丸出しの女たちは今60歳近くになり、どのような状態になっているのでしょうか?

私の店ではバブルの恩恵はなく、淡々と商売をしていました。周囲では地上げ屋が暗躍し、木造の店舗兼住宅が不審火で全焼したりしました。次々とビルが建ち、仏壇屋しかなかったところが、料飲ビルが建ち並び、繁華街の中心が私のところから仏壇屋のほうへ移動しました。私の店は徐々に衰退し、今では辛うじて息をしているだけです。

この時代が、誰もが知っている流行歌の「最後の時代」ということになります。それ以降個別化が進み、分断化し、隣のことはさっぱりわからなくなります。演歌も徐々に衰退し、誰もが知っている「みんなのうた」がなくなります。オジサンオバサンが若者の歌にはついて行けなくなったのは、この時代の後からです。おのずと都はるみや五木ひろしの「懐メロ」にすがるほかありません。

思想・文芸界も戦前戦後の流れが変わったと解説しています。知識人のバックボーンであった「左翼」的傾向が、ひらがなの「さよく」に解体され、著しく薄められ、ベルリンの壁やソ連の倒壊につながります。資本論ではもはや世界を説明できないことになり、ワインを飲みだしたように、フランスから、フーコー、ドゥルーズ、デリダなど洒落ているけどよくわからないものがはやりだします。浅田彰の「スキゾ・パラノ」という流行語もでました。漫画、アニメ、ゲームなどが隆盛を極めます。バブルですから軽くてフアフアした時代だったのでしょう。

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