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読書

森達也 人間臨終考


       戦前から戦後にかけて、ベトナムの王子クォン・デがいたということをこの本ではじめて知りました。インドのボースや中国の孫文と同じく、自国の植民地からの独立を日本の手を借りてやろうとしたのです。犬養毅の援助を受けていたのですが、犬養は軍部に殺され、日本も敗戦し、戦後は荻窪の貸家に逼迫していました。ベトナムに帰国しようとしたのですが、宗主国のフランスが許可しません。仕方なく日本に戻り、69歳で亡くなっています。ベトナムでは中国で訓練を受けたホーチミンが戻り、フランスを追い出し、アメリカをも負かしたのは歴史で見たとおりです。ホーチミンと対決した南ベトナムのゴ・ディン・ジエムは貴族であり、クォン・デがもしベトナムに戻っていたら、クォン・デが大統領になっていたでしょう。しかしいずれにしてもベトコンに負かされるのですから、ベトナムで銃殺されるよりは日本で死んだほうがよかったかもしれません。ゴ・ディン・ジエムと彼の弟はCIAに意向によってクーデターで殺されています。ゴ・ディン・ジエムの弟の嫁マダム・ヌーが焼身自殺をする僧侶を「あんなものは単なる人間バーベキューよ」と発言しているのをテレビで見ました。このようなことを言ってはまずいだろうと思いましたが、案の定、大統領兄弟は殺され、マダム・ヌーも海外に逃亡しています。チャウシェスクのように夫婦ともども銃殺されるより、まだマシだったといえるでしょう。

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