忍者ブログ

読書

鈴木義昭 日活ロマンポルノ異見


    石原裕次郎などのスターによるお決まりの映画が飽きられて、一時しのぎにポルノ映画を作ったところ、これが大いにあたり、日活という会社の財政を救ったのですが、官憲から猥褻陳列罪の裁判を起こされ、それまでは儲ければいいと思っていたものが、表現お自由や、猥褻そのものがなぜ悪いといったような、これらに関わった者たちが哲学的な問題にたどり着いたという、単に面白いから作っていたという状態から、やや重苦しい展開になったという事情を歴史的に説明した本です。

では一体猥褻なるものはどういうものかというと、陰毛が写っているかいなかという基準判断があり、それも時代によって段々緩和されてきたようです。今日では性器そのものを写しては猥褻罪になっているのでしょう。でも裏ビデオではそのようなものは当たり前であり、インターネットでも盛んに見られます。性器そのものを描いて芸術だと主張する女性もいました。官憲の主張は「普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」といっているのですが、それぞれ個人差があり、検事個人の感覚で裁判を起こされても、迷惑を感じる人も多いでしょう。

最終的には無罪になりましたが、これに関わった映画監督や関連者などは会社をやめ、酒量が多くなり早死にした人もいるようです。広島の元アナウンサーで、たかが6万円の窃盗罪で起訴されて、5,6年かかってやっと無罪を勝ち取った人がいますが、官憲の横暴は本当に始末の悪いものです。

PR

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

カテゴリー

P R