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楊逸 おいしい中国 「酸甜苦辛」の大陸

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楊逸 おいしい中国 「酸甜苦辛」の大陸


        楊逸の父と母は教師であったので、毛沢東時代「下放」にあっています。都会の大連から酷寒の辺境に移動させられています。窓にはガラスもはめていなく、寒風が吹き込んでくるようなバラックに住まわされます。よく一家が生き残ったものです。ひ弱な日本人なら死んでいるでしょう。楊逸一家は畑を耕し、豚、アヒル、鶏、ヤギなどを飼い、2年目からは何とかやっていけるようになります。3年目で政策が変わり、また大連に戻ることになりますが、そのとき飼い犬の黒が屠られて、家中が泣いています。黒の毛皮は記念として楊家に残っています。肉は村の人たちが食べたのでしょう。

楊逸は日本に留学して、2008年には芥川賞もとっています。何と優秀な人なのでしょうか。貧窮から立ち上がっていく人は真面目にコツコツ努力していく人だということがわかります。いま日本では中国批判が盛んですが、大部分の中国人は貧乏で、真面目であろうと思われます。世界経済の二位の地位を中国に奪われて、やっかんでいるとしか思われないような批判もあります。新幹線の技術を盗んだということも、かつては日本もアメリカの技術を盗んできたことと同じことです。中国もある面日本を手本にしていると思われます。ということは中国を面罵することはかつての自分たち日本を面罵していることにもなるということになります。国として対立することがありますが、決して戦前のように軍事で解決をしないで、あくまでも外交でやってほしいものです。二度とあの「ぬかるみの日中戦争」の十年にしてはなりません。

楊逸は最後にこう書いています。

「日本に来る直前までの、生まれてから22年間は、貧しい食生活だったが、こうして文字に書き出したことによって、かつては味わったことのない郷愁が、じわじわとにじみ出てきた。時には堪え難い思いでもあり、幸せとはいえない日々の、おいしい、から程遠い食生活でではあったけれど。・・・往時如煙、包まれていたつらい風景も、幾分かはぼやけて美しく見えてきた。それはあたかも、かつての貧乏食の代表格だった大根、白菜が、きょうでは健康食として美しく変貌を遂げたかのようである。」

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