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渡部雄吉 写真集 張り込み日記

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渡部雄吉 写真集 張り込み日記


     昭和33年水戸市の千波湖畔からバラバラ死体が発見されます。陰茎も切られて、痴情のもつれからの猟奇事件だと思われましたが、なりすまし事件であったのです。自分で殺して、その被害者に犯人がなりすましたのです。養父母を殺し、自分も自殺するといって行方不明になった男が新しい身分を手に入れるために人を二度までも殺しているのです。一人目は北海道の男を殺し、その人の身分を手に入れ、結婚までしています。何かのトラブルで指紋を取られ、また別の男に成りすまししないといけない状況になり、この水戸のバラバラ事件を起こしました。

全編白黒の写真で老練な刑事と若い刑事の二人を写し、その背景はまさしく高度成長時代前の昭和そのものが写っています。東京でも高いビルはありません。木造の二階建てや平屋が多く写っています。飲食店などのメニューも写っていて、うどんが10円と出ています。ビーフステーキが250円、ドライカレーが60円と出ています。私の店もここ頃から始めて、ごはん一杯5円だと聞いています。

捜査は寒いころからはじまったのでしょう。刑事二人はオーバーコートを着、ハンチング帽子を被っています。外でも署でも盛んにタバコを口にくわえています。当時の刑事のスタイルが髣髴されています。まるで黒沢明監督の映画のようなスティール写真を見ているような気になります。歳をとった刑事は定年退職後一年あとに亡くなっています。もう一人の若い刑事は「事件から56年後の夏」に亡くなられたということで、去年2014年にこの世からいなくなっています。犯人は昭和36年3月10日に死刑執行がなされています。時間はいい人も悪い人も分け隔てなく清掃していくというのがよくわかります。

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