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玉川信明 大正アウトロー奇譚

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玉川信明 大正アウトロー奇譚


    私が中学生のとき学校の図書館でよく歴史の写真集を見ていたものです。関東大震災の直後亀戸などで社会主義者たちが殺されている写真が載っていました。大杉栄、伊藤野枝、甥っ子の三人も憲兵隊長の甘粕によって首を絞められ井戸に投げ入れられたともあります。この甘粕は短期間で出所し、満州に渡り、満州映画会社の理事になり、終戦後満州で自殺しています。

大正時代は最近のバブル時代とよく似ているような気がします。大正の初め第一次世界大戦が起こり、日本は好景気に恵まれますが、その後大不況になり、関東大地震がそれに輪をかけて社会を暗くします。インフレで米騒動も起こり、家庭の奥さんまでも抗議の行動を取り出すと、治安維持法を作り締め付けを図ります。それがとうとう第二次世界大戦までも引き起こします。最近のバブルでは戦争は起きませんが、長期間にわたり日本の衰退が起こり、今も続いているようです。大正時代は一瞬ではありますが、アナーキストや脱落者の存在が許された時代だった思われます。明治時代は先進国に伍するために、節制我慢して生きていましたが、第一次世界大戦で大儲けし、それで気が緩みます。好き勝手な生き方が許容された、日本史では珍しい一時期だったのです。

どうも最近「好き勝手」を言えたり、行動したりする本当の奇人はいないように思われます。小賢しく小さくまとまった人が大手を振るっているような感じです。奇人ぶっていてもそれは計算された奇人で大きく枠をはみ出ている人はいない。大きくはみ出ている人は食えないのですから、そのようなことはしません。でも大正の奇人たちは生活が破綻しても、その後何とかなるのではないかという余裕すら感じられるのです。というのは、今よりも人間的な結びつきが強く、手助けする人がいたからです。最近は自己責任で失敗した人にかまける人はいないからです。

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