忍者ブログ

読書

祝田秀全 銀の世界史


     2004年東京大学入試問題世界史で、「グーツヘルシャフト(農場領主制)、一条鞭法、価格革命、綿織物、日本銀、東インド会社、ポトシ、アントウェルペン」などの言葉を使って、「16~18世紀における銀を中心とする世界経済の一体化の流れを梗概せよ」という問題が、この本の導入部になっています。私には手も足も出ません。この本を読んでもう一回この問題に当たってみましたが、コンパクトにこれらの語句を使ってまとめることができませんでした。

スペインがポトシ銀山を開発し、それをせっせとのアントウェルペンに運び、銀と引き換えに東ヨーロッパのグーツヘルシャフトの作る穀物を買った。イギリスはスペインと対抗し、インドに東インド会社を造り、それを足がかりにして、中国に向かい、茶の輸入を手掛け、そのために銀がドンドン中国に流れ込んだ。イギリスは銀の流出を防ぐために、インドで阿片を栽培し、それを中国に売りつけ銀の回収に走る。日本の銀も鉄砲など買うために、ポルトガルを介して中国に流れていく。中国の明、清では税金を銀で受け取るようになる。これが一条鞭法といわれるもの。イギリスはまたインドでの家庭生産的な綿織物を、動力革命で大規模な工場生産で綿製品を作り出し、世界に売り出す。おっと、「価格革命」が出ていない。多分大量な銀の流入でヨーロッパの物価が上がったということかもしれない。それかイギリスの大量生産で綿花製品が下がり、インドの家庭内綿花産業が潰れたというのかもしれない。

イギリスが最後には大航海時代の覇者になるのですが、銀と同等程度に奴隷貿易が、後のイギリスの産業革命を呼び起こしたと解説しています。アフリカから黒人を中南米や南部アメリカに連れて行き、砂糖や綿花に栽培に使いました。奴隷貿易の収益がイギリスの近代化の原資となったのです。

今はヨーロッパではテロが、アメリカでは白人主義の象徴である南軍のリー将軍の銅像やアメリカを発見したコロンブスの銅像を撤去しようということから大騒動が起こっていますが、これらはすべて欧米の大航海から植民地政策に至るまでの所業から端を発していると思われます。

PR

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

カテゴリー

P R