読んだような気がするが検索にひっかからない。ありました。2006年6月13日に感想をアップしています。ルイ14世の寵姫モンテスパン夫人と死刑執行人サンソン家のことを書いています。
今回はネー将軍とラスネールのことについて書いてみましょう。ネー将軍は樽屋の息子です。それがナポレオン軍に入り、どんどん出世したのです。フランス革命前では考えられないことです。それがナポレオンが出てきて、有能なものは貴族でなくても階級が上がっていく仕組みができました。ナポレオンが失脚し、国王が戻ってくると、ネー将軍は国王に服従を誓います。しかし戻ってきた貴族たちが再び軍の要職に付きだすと、彼の妻もろとも貴族たちの侮蔑にあいます。ネー将軍はじっと耐えます。やがてナポレオンが島から脱出し、パリに迫ってくると、肝っ玉のない貴族たちは浮足立ち、国王もネー将軍にナポレオンを捕られることを頼みます。そこでネー将軍も男気を出して、リオンに行くのですが、戻ってきた貴族の幹部たちによって国王の軍隊は弛緩していて使い物になりません。ナポレオン自身の呼びかけがあり、再びネー将軍はナポレオンの旗下に入ります。ところが100日天下に終わり、ナポレオンはセントヘレナ島に流され、ネー将軍は銃殺刑に処せられます。このように19世紀のフランスは政変の著しい時であり、この後もナポレオン三世が出たり、共和制になったり、いわばフランスの青春動乱期であり、面白い時代であったといえましょう。
ラスネールもこのような動乱期に出たしょうもないチンピラですが、ただ詩作の才能があったので、ミーハーにほめそやされました。バルザック、ユーゴー、スタンダールも影響を受けています。バルザックも小説が売れなかった、ラスネールのように集金係の銀行員を襲ったかもしれません。