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読書

ぷくぷく、お肉


       肉に関するエッセーをいろいろな人から集めたものです。すき焼きは昔は大ごっそうということがわかります。古川緑波によると、昭和初期頃にはすき焼きは関西風と関東風にわかれ、豆腐や白菜やきのこ類を入れるのは関西風ですが、肉とネギだけを食わすのが関東風です。それを牛鍋と言っていました。やがて徐々に関西風に変わっていったと証言しています。アメリカでビルボード1位になった坂本九の「上を向いて歩こう」のが曲の名が「すき焼き」になったのは、ケニー・ポール楽団が、「
uewomuitearukoh」という単語が覚えられないで、日本と言えばすき焼きということで、「sukiyaki」に変えたのだということを、村上春樹が書いています。我々日本人は漢字とひらがなで視覚的にすぐわかりますが、アルファベットではこのような長ったらしい言葉は覚えられないでしょう。ステーキも日本のように柔らかいものだと思っていたら、イタリアでは歯を折ることになるでしょう。ナイフでも切れにくい肉なのですから、咀嚼にも時間がかかります。だからイタリア人は食事の時間が長いのだと、神吉拓郎が言っています。大阪の洒落た串カツ屋で、セットメニューで頼んだのに、隣の客より一本串カツが少なかったと町田康と不満を述べています。料金を払って店から出るときも、前の客は店員全員から「ありがとうございます」といわれましたが、町田の時は全員無言だったそうです。私が思うに、町田が店に入るときから、彼の顔からこの店の不信と、知識人のありがちな神経質的な不快感を漂わしていたのでしょう。誰もそうですが、不快な表情をしている人間を好きになる人はいません。町田は串カツ屋のイメージとして、立ち食いで、前にソースの缶があり、揚げたてを自分でそのソース缶につけて食べるという庶民的なイメージを持っていたのでしょう。ところがこの串カツ屋ではバーみたいな感じで、途端に町田の顔には串カツ屋が上品ぶりゃがってというものが出ていたのでしょう。店の人も自分のプライドが傷つけられたと思い、町田に嫌がらせをしたり、愛想がなかったのだと思われます。人からよく思われようとおもうなら、まず相手をよく思わないといけないということがわかります。

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