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アンドレ・コント・スポンヴィル 資本主義に徳はあるか

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アンドレ・コント・スポンヴィル 資本主義に徳はあるか


     このタイトルの日本語訳は誤解をまねきかねない。原題は資本主義はモラルがあるのかとなっていて、つまり道徳的なのかと問うているのです。フランス語での徳は
vertuというものがあって、徳のとりわけ高い人に使われる言葉です。モラルとは社会生活をおくるための最低限の規律のようなものとして機能しています。おまけに日本語の徳は得とも発音が同じですから、口頭で言われると、資本主義は得を得るものだということで当たり前ではないかといわれそうです。

資本主義は金持ちになるには最も適した構造です。これに道徳的であるかないかを問うことは無意味です。スポンヴィルはこれを「非道徳的」だと言っています。道徳とは関係ないのです。ただしこの体制のなかにいる人間にこそ道徳が問われるのです。

いい例としてゴーン氏について考えて見ましょう。潰れかけていた日産にゴーン氏が入ってきて、義理と人情(スポンヴィルのいうところ、宗教色の無い愛)のしがらみでどうにもならなくなった組織を粉砕し、首切り2万人も行い、不採算部門を売り払い、スリムにして日産を建ち直させました。資本主義で何よりも大事なことは利益を計上することです。会社が潰れていては愛情のへったくれもありません。ここまではゴーン氏は資本主義の鏡といえましょう。しかしこれ以降が問題です。自分の年収を10億円、日産の期間工の年収は200万円もないかもしれません。道徳的であるということは自らの行為に対して恥じ入ることが無いような行為をすることです。このような収入格差にゴーン氏は恥じ入ることがないようです。自分の親族には世界のあちらこちらに高いマンションを日産お金で買ってやり、「愛」を振りまいています。おまけに第二回目の妻にはベルサイユ宮殿で結婚式を挙げ、この費用も日産に付回しています。おまけに自家用ジェット機まで購入し、これも日産の付け、プライベートで使いまくっています。まるでアンシャン・レジーム期のような、貴族と下層人民とにわかれ、日産の従業員はゴーン氏に金を吸い取られるだけで、まるで奴隷のような生活を強いられています。おまけに株の失敗のツケまでも日産に払わさせています。もうここに至っては最低限のモラル=法に抵触しないわけにはいかない。自ら恥じることがないのですから、法に照らして罰するほか無いようです。

 

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