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読書

ダニエル・ヤーギン ジョゼフ・スタニスロー 市場対国家 下


       イギリスで蒸気機関が発明されて、資本主義国家ができました。それが発展し、資本家としての金持と、そこで使われる労働者の貧乏人とわかれます。やがてマルクスが出てきて、共産党の思想が広がります。資本家が持っている生産手段を国家に移し、労働者は国家に雇われる公務員になり、安定した収入を得られるようになるという理想郷がえがかれます。その最初の国家がソ連です。スターリンがいた頃ソ連は世界から共産国家として成功していたように思われていました。その影響で資本主義国家でも基幹産業は強く国家の関与を強めている政策をとります。それ以上に国家がその産業の経営者になります。ところが、そうなると、「おんぶに抱っこ」ということで、労働者は働かない、指導者は市場の要求を考えることなく、型どおりの計画生産を行ないます。そこには当然ウソの報告や、ごまかし、怠惰の蔓延となります。そのようなことが露呈したのは、スターリンが死んで、相当後の事です。スターリン時代もひどいもので、粛清された人は2000万人とも言われ、計画生産も破滅的状況でした。そのようなことがわかり始めると、共産国という理想郷も脆くも崩れ始めます。アメリカも始めはルーズベルト大統領によるニューディール政策というケインズによる、やや共産党かがった政策を採り、第二次世界大戦終了後、ますます経済の状況はよくなり、「大きな政府」になっていきます。国家は企業に対して、法的規制でコントロールしようとします。ところがイギリスでサッチャーが現れ、国営の企業を民営化します。やはりイギリスでも国営企業はソ連病が現れ、大赤字になっていて、労働者はストライキばかりして働きません。サッチャーはそれをばっさり切り、競争原理に晒したのです。民営化された企業は黒字化されます。アメリカでも景気が低迷し、追い討ちをかけて日本の企業の製品がアメリカにのさばり続けます。これに危機感を感じたアメリカは国家の規制なるものが、共産圏の思想と同じものだと気づきます。規制緩和をして企業に自由に活動していく体制をとります。「小さな政府」を標榜し、企業の税金を安くし、規制を取っ払います。上のものが儲かれば、おこぼれで下のものも潤うという考え方がでてきます。オバマの提唱するアメリカ全土一律の健康保険など無意味ということになります。年金など各自の自助努力でやるしかないということになります。やがてアメリカから多国籍企業が現れ、現在のグローバリズムに至ります。

この本の上下はそういった歴史の流れを書いたものです。1998年出版ですから、スターバックスがイギリスで、税金を払っていないということで訴追されたいとうことは載っていません。グローバリズムの弊害が今後どのようになるかは今のところ誰もわからないようです。

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