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マイケル・ハリス オンライン・バカ

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マイケル・ハリス オンライン・バカ


     マイケル・ハリスは手打ちのタイプライターとコンピューターのキーボードの両方とも経験した人物です。歴史にはある発明によって大いに変わることがあります。その都度昔がよかった、いな今からのほうがよくなるだろうという議論がなされています。まず文字が出来たことにより、ソクラテスは以前の物事を暗誦していたことから、文字で書き残すことで何かが失われているのではないかと、最初に考えた人です。ハリスによるとソクラテスは、文字に頼り、「口承を捨てることによって脳を腐らせて」いるのではないかと考えたようです。それから、グーテンベルグが印刷機を発明したことによって、本がたくさん印刷されると、本を書き写したりすることがなくなるので、「知的怠惰」が生まれ、「勤勉ではなくなり、精神は安っぽくなるだろう」と当時の「有識者」は嘆いています。で、今回のパソコン・スマホの常時接続のデジタル世界とアナログの世界の状況は、以前にもまして「不一致の規模は未曾有のことだろう」とハリスは強調しています。

ハリスは大学生時代英文学講座でミルトンの詩を暗誦させられました。何十年経っても切れ切れにその詩の文句は出てきます。今ではグーグルで検索すれば、一瞬のうちに全文が出てきますが、暗誦することに拠って、何か心の血肉になるのではないかと言っています。

「暗記する内容が暗記する人に所有されるということと、本人の構造の成分になるということ。暗記によって、それは自分が生きるという進行中の経験の一部になる。・・・暗記され、内面化された作品は、服用された薬のような地位に達することもありうる」

今では何もかも検索ですましてしまいます。脳はその検索の方法を記憶しているだけです。知識は外にあって、脳の中にはないのです。知識は脳を通過するだけで、何ら痕跡をとどめるものではないようです。ましては「薬」のようにその人の体質をかえるようなものではなくなりました。知識のすべてが平板化し、根性の入った知識など見当たらなくなるでしょう。

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