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読書

マイケル・J・ウルフ 遊び心の経済学


        副題に「あらゆるビジネスは娯楽に進化する」とあります。よく言われるように、パソコンが普及したのは、ポルノが見られるということがありました。堅物の会社の、テレビのコマーシャルも、エンタテイメントあふれるものになっています。犬が主人で、異民族を揃えて、それを家族だという変なコマーシャルもあります。カジノも日本にできるそうですが、これも大いにカネをもうけることができるので、産業であるといえるでしょう。

「遥か昔、広大な土地を所有すれば巨万の富を得ることができたと同じように、これからの現代ビジネス界の征服者たちが、世界中の視聴者の感情、興味、支持を手中におさめれば、さらに豊かな富が生まれるに違いない」

タイの銀行のコマーシャルにこういうものがあります。一人の少年が店で天体望遠鏡をみます。それを買うために、彼はおやつ代や、小遣いを貯金箱に溜め始めます。辛苦して集めたカネが望遠鏡を買えるまでなったので、店に行きます。ところがその望遠鏡が以前より値が上がっていたのです。彼の絶望感あふれる顔の後に銀行の名前が出てきます。見て、笑ってしまいます。普通なら少年の辛苦してカネを溜める行為は賞賛すべきものであるはずですが、このコマーシャルではそれが時代遅れだといい、欲しかったら、銀行でカネを借り、それをすぐ買い、後で金利と元金を払うのが現代的だと、銀行側には都合のいいことを言っています。でもこの物語はおもしろいので、銀行を憎むこともありません。

映画「タイタニック」は製作途中から、船が沈むような結末がわかっている映画などはやりはしないと、大御所の批評家などが言っていましたが、いざ封切られると、大ヒットしました。まず少女たちが純愛に感激し、それがクチコミで広がり、大ヒットになったのです。それと反対に「ゴジラ」では、大々的の宣伝を打ち、その宣伝料も半端でないものになりましたが、実際に見た人が大したものではないというコチ込みが広がり、かえってその誇張した宣伝が反感をかいました。金儲けは難しいものです。今からは何の商売も「遊び心」をもっていないとうまくいかないようです。あのタイの真面目な少年では社会の脱落者になるようです。携帯会社のあの白い犬のようにとぼけた味をもたないと、今からは社会に受け入れてもらえない状況になっています。

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