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マーク・トウェイン 赤毛布外遊記 下

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マーク・トウェイン 赤毛布外遊記 下

 
        最後の巻は、聖地エルサレムに行ったこと、エジプトに行ってピラミッドを見たことなどを記しています。船から下りて陸路ロバを借りてシリアを横断し、エルサレムに向かいます。マーク・トウェインの一団も今の中国の観光客と同じような人がいて、記念碑の建物や遺物をハンマーで持って削り取り記念に持ち帰っていました。1800年代後半のアメリカ人はやはり田舎者であったということでしょう。事実この地でアメリカ人と言っても、最近戦争した国であるくらいかの知識を持っているほうがましな方で、ほとんどわかっていない人が多かったとマーク・トウェインは記しています。

聖書で知ったこの地方も、一端この地に来てみて、物乞いとボロをまとった人々が多いのに出くわすと、マーク・トウェインに幻滅が起こってきます。

「私が考えていたように、私がパレスチナのすべての物を、あまりに大きすぎる尺度で計っていたのだ。私の考えていたことは荒唐無稽であった。パレスチナという言葉を聞くと、いつも私がそれが、合衆国ほどの大きい国だという、漠然とした印象を心に受けていた」

旧約聖書でイスラエルの王が近隣の王の30ばかりを打ち倒したという記述がありますが、マーク・トウェインが実際ここに来て見て、イギリス、フランス、スペインといった、何千万人を支配している王様とは根本的に違っているのだと強調しています。

『ヨシュアがその有名な会戦に於いて撃ち滅ぼした30の「王たち」からなる連合君主国なるものも、アメリカの普通の大きさの郡をたった4つくらい集めた地域を占めたに過ぎない。カイザリア・ピリピで見たみすぼらしい老族長は、百人ばかりのぼろをまとった従者に一隊を引き付けていたが、あれなんぞは昔の聖書時代に住んでいたら、さしずめ「王様」と呼ばれる代物であろう』

マーク・トウェインは唯一この旅行で感激して、泣いたのは、人類の祖である6000年前のアダムの墓の前です。彼独特の冗談かと思いましたが、「・・・何と言っても親戚である。人間本性の誤りのない本能が、それを確かめ認めて、身震いを起こした。私の、子としての愛情の泉が、そのもっとも深い底まで揺り動かされて、湧き上がる情緒に私は堪えられなくなった。私は柱に凭れかかって、わっと泣き出した。」と書いていますから、本当に感動して泣いたのでしょう。後に宗教には懐疑的になっていますが、この旅行中はまだ30代で、少しは純真的なところもあったと思われます。

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