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マーク・トウェイン 赤毛布外遊記 中

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マーク・トウェイン 赤毛布外遊記 中


     聖地巡礼の地中海旅行記の中巻です。ローマからギリシャ、トルコのコンスタンティノーブル、黒海の奥にあるロシア領のオデッサ、そこから引き返し、地中海に出て、いま紛争中のシリアのベイルートに至るまでの記録です。

ローマにおけるキリスト教の多くの奇跡を訪れて、トウェインの感想はこのようになっています。

「19世紀半ばに、充分に教養のある人士で、法学博士、文学上の肩書きのある、考古学の大家によって、真面目に述べられると、実に奇妙な感じがする。しかも私しは、ネリガン牧師の信仰を尊んで。私の不信を喜んで撤回し、牧師に好き放題に、堪え難い事項を書き並べさせることだろう。近頃の万事実際的な鉄道や電信の時代において、この老紳士の疑いをはさまぬ、詮索しない単純さには珍しい新鮮味を覚えさせるものがある」

1900前のキリストをはりつけたクギとか、死骸を覆った布とかが、あちらこちらにあることに、ローマカトリック教会がいかに民衆を騙してカネを吸い取ったかを嗅ぎ取っています。

ギリシャではコレラの発生で上陸許可がおりませんでした。そこでトウェインら4名は深夜に紛れて小船を出し、パルテノン神殿を見学しています。月に照らされた遺跡は、「広い地球のどこにも、この半分も美しい絵はあるまい」と感嘆しています。帰る途中喉が渇いたのでブドウ畑からブトウを盗んだりして、自警団に追いかけられています。それにもまして野良犬が吼えるので往生したようです。検閲官に逮捕されることもなく、船に逃げ帰っています。野良犬の多さはコンスタンティノーブルでもそうで、町内ごとに犬の縄張りがあり、町内を渡り歩くごとにその町内の犬に吠え立てられています。

ロシア領のヤルタではロシア皇帝とその妻その娘に拝謁しています。図々しくもヤルタに避暑に来ていた皇帝家族にお目にかかりたいと頼んで、それが許可されたのです。皇帝への挨拶文はトウェインが書きました。

「私共は少数の、公職を持たないアメリカ市民でございまして、単に遊楽の旅行を、そして私人としての地位にふさわしい、見栄を張らない旅行をしている者でございます。従って皇帝陛下に面接を赦されるに際し、特に申し上げる口上もございません。ただ、褒められましょうが、笑われましょうが、私どもの深く愛する祖国の確乎たる友邦であった国の王者に、私どもの感謝の意を述べたいと願うのみでございます」

この文言はやがてトウェインらの乗った船の船員たちの皇帝芝居の中で茶化されています。

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