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タイでは貧乏県の東北ナコンラーチャシーマー県の「寒村」の出身です。これら短編小説群ではほとんど貧乏が主人公になっています。タイ王族の関係者が出てきますが、ラワン材伐採の企業の所有者は王族だとわかります。王族に対比して象使いの四角い顔の異民族系の若者がいて、村の娘と結婚する予定ですが、王族もその娘にひかれます。王族にとって村の娘も自分のものだと思っているのでしょう。最後にはその若者は象とともに伐採所からいなくなります。その夜象がものを打ち壊すような音が聞こえます。朝、昨夜の雨で増水した川には建物が流されそうです。村人が「いいところの行けよ」とポツリと言います。四角い顔の若者を思ってのことでしょう。
農民が犬6匹飼っていて、その中の一匹が見栄えがよく、よくかわいがっていました。時に外人がやってきて、その犬を見初めて、調教したほうがいいといって連れ帰ります。何ヶ月して帰ってきましたが、その犬はかつての仲間の犬に噛み付いたり、あまつさえ農民のおじいさんまで噛み付いてきます。白人がくるとその犬は愛想よくじゃれつきます。知識人の先生によると、犬は白人に清潔感を教えられ、食べ物も皿に入れて出さないといけないし、爺さんそのものがぼろ服を着ているようでは不審者と思って吠え立てるのだろうということです。爺さんも家で一番いい服を着てみたのですが、その犬の行動は変わりません。最後には地主と犬を調教した白人が来て、ここの土地は白人に売ったから、いついつまでに立ちのくようにといわれてしまいます。
時に小説を読むということはその時代や国の状況を知ることにもなります。タイでの経済活動では王族が一番いいところをつかんでいるようです。かつては輸出輸入業も王族管理の下でやっていました。植民地にされなかったものも、はやくから欧米の企業がタイに進出してきたのもわかります。