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資本主義が爛熟すると、創業家一族が経営にタッチしなくなります。この本では「所有」と「経営」に分かれるといっています。株を持った資本家と、雇われ社長とその会社の従業員とになります。資本家は短期のサイクルで株の配当を期待します。低成長と革新的技術の枯渇にみまわれた会社の社長は、今期の利益を出すために従業員の首を切ったり、本業以外の投資や、買収、合併といった操作で何とか利益を出そうとしています。長期的な展望で会社を経営することができなくなり、金融会社に操られて、カジノ経済に繰り出すわけになります。ギャンブルとはゼロサムの世界ですから、誰かが儲けると誰かが損をして、胴元つまり金融会社だけはがっぽりと手数料を取るといった仕組みになっています。これがアメリカのラスベガスだけで収まれば別に問題はないのですが、グローバリズムでカジノ経済を世界にばら撒き、規制を撤廃し、自由に賭博をやらせるような環境を作り出します。そこで何が起こるかというとバブルの崩壊で、えいえいと溜めてきた年金や郵便保険の原資がろくでもない債権を買わせられ、あっという間になくなってしまうことになります。ほくそ笑んでいるのは詐欺師まがいのアメリカの金融会社です。通貨のドルすらアメリカが紙くずに過ぎないと宣言すれば、日本の企業が辛苦して溜め込んだドル建て何百兆円もの預金など、レモン一個も買えなくなります。このような危なっかしい資本主義をどのようにすすめていったらいいのか、誰だって確信を持ってこうだといえる人はいないようです。行過ぎたグローバリズムをやめて、国々がそれぞれに規制を復活し、金融経済の暴走を防がないといけないということは、うすうすながら気づいているようです。