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読書

久保田誠一 O・J・シンプソン裁判で読むアメリカ グレイゾーン


    アメリカのフットボールの有名な黒人の選手シンプソンが白人の妻とその妻の男友達を殺した容疑の刑事裁判で、アメリカ有数の弁護士をそろえ、無罪を勝ち取ったということがありました。その一年後の、その男友達の両親と殺された妻の両親が起こした民事裁判では、シンプソンを負けて、賠償金と慰謝料をとられています。

テレビニュースで、シンプソンの車がパトカーに後をつけられて、逃げている様子が放映されていました。遠くはなれた日本から見ても、シンプソンの犯行で間違いないと思われました。ところが裁判になると、コクラン弁護士が「人種カード」を使い、とてつも真っ黒いシンプソンを真っ白にしてしまいます。「人種カード」とは、シンプソン邸で見つけた片割れの血まみれの手袋を発見した警察官マーク・ファーマンが裁判の宣誓で、黒人に対して差別意識を持っておらず、ニガーといったおぼえもないと宣言しましたが、刑事物の脚本を書いていた女性のインタビューで、マーク・ファーマンは「異人種間の結婚は我慢ならない。やつらを引っ張ってきて、豚箱にぶちこんでやる。世界中のニガーは十把一絡にして焼き殺してやりたい」というビデオテープが出てきて、彼の嘘がばれます。このことによって、マーク・ファーマンが発見した片手の手袋は証拠としての価値を失い、しいては裁判そのものも逆転してしまいます。

刑事裁判も民事裁判も裁判官は日系の二世です。白人や黒人の裁判官では公平に欠くと思われたのでしょう。しかし刑事裁判の陪臣員は黒人が多数で、民事裁判では黒人は一人であとはすべて白人でした。どこの国でも人種は悩みの種です。トランプのアメリカファーストは白人ファーストであり、ブラジルでも白人ファーストのボルソナロが大統領に選出され、ドイツではメルケルの移民政策に反対する党が躍進しています。植民地時代から白人は悪の権化といわれ続けてきましたが、今ここに至って、白人たちの巻き返しが起こっているようです。こうした世界の潮流に対して黄色い私たちは、大岡越前守になり、「三方一両損」を唱えるしかないようです。損をしてもらうのは黄色い代表として中国にやってもらいたいものです。

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