これは全日空の機内誌「翼の王国」に書かれたもので、論文のように型くるしいものではなく、「舞文曲筆」と言っているように、思わず笑ってしまうような、肩の凝らない雑文集です。２０世紀の終わり、ジャパンイズナンバーワンとささやかれていた頃、日本製品が世界の隅々まで行き渡り、少し余裕すら出来た頃です。井上章一も多分この航空会社の格安券を提供されて世界を回り話のネタを収集していたのでしょう。また旅行や海外に赴任する人からも情報を得て、国内でイメージする日本と海外での日本のイメージのとんでもない差を面白おかしく書いています。

招福の猫、ダルマ、タヌキの人気度ではブラジルではダルマですが世界的にはやはり招き猫になります。タヌキはあの大きな金玉がネックになっていて、招き猫に大いに差をつけられています。

井上章一はパリの歓楽街で引張り屋に「助平」と言われています。向こうではお兄さんと言うくらいの意味で使われているのでしょう。ある人はタイのバンコクで「ドラえもん」と呼ばれています。助平ではスウェーデンの地名で「スケベイニンゲン」と言うところもあると書かれています。