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井上章一 日本の醜さについて

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井上章一 日本の醜さについて


     欧米人は自己主張的で、日本人は強調的だとよく言われていますが、建築から見ると、真反対になると井上は言っています。同時に欧米人は革新的で日本人は保守的であるとも言われます。これも建築から見ると真反対になります。東京の勝手気ままに作ったビル群と、ヨーロッパの都市の景観を考慮した昔ながらの家並みとを見れば、一目瞭然です。ヨーロッパでは700年前に建てられたものをまだ市庁舎として使っています。明治時代に建てられた鹿鳴館も使用目的がなくなったということであっさりと取り壊され、バラック並みの役場に建て変わっています。

坂口安吾流の考え方、何よりも観念が大事で、そのほかのものはあっても無くてもいいという考え方。寺院、王宮、など壮麗であろうとなかろうと、構わないし、中の人間がしっかりしていればバラックでも構わないと「日本文化私観」で言っています。これに対して井上は、第二次世界大戦を持ち出して、坂口の考え方が日本に多くの損害をもたらしたかを言っています。フランスは早々とドイツに降参しました。なぜならルーブル美術館やパリの町並みを壊されないためです。イタリアもローマの遺跡を守るために枢軸国で一番早く爆撃を受けて十ヶ月で手を揚げました。しかし日本はアメリカの爆撃を受けても3年以上も我慢し広島長崎の原爆を受けてやっと降参しました。結果はというと日本の大方の都市の壊滅です。バラックでいいという観念は、その観念自体が焼かれてもしかたないと思わせる観念でしかなく、壮麗で堅固な建物を作り出す観念はそれを大事にして後世に残そうとするもので、子孫にもそれを受け継いで欲しいと願うものです。古い家並みが残るヨーロッパと、まだ住めるにもかかわらずニョキニョキと目新しいビル群が建つ東京との違いでもあります。

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