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井上章一 学問をしばるもの

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井上章一 学問をしばるもの


    お茶はガンにきくという風説が静岡県から出たということは、静岡県がお茶の産地からだと井上は言っています。このように自由だと思われていた学問もいろいろなものに縛られているのだということがわかります。地域だけではありません。時代、体制、学閥、文化、・・・。360度撮ることのできるカメラもあるそうですが、それでは人間の脳はフォーカスできません。枠があることによって人間の考えはまとまってくるのです。その枠が、時代、体制、学閥・・・なのです。

邪馬台国の問題ですが、東大の九州説と京大の近畿説とに分かれます。東大で近畿説を唱える人はいますが少数です。指導教官が同じなのですから、それに即した論文が出てくるのでしょう。

鎌倉幕府の問題も、関東に住む学者は都人から武士に政権が変わったと明言していますが、近畿在住の学者はそれは表面的な事象で、あくまでも天皇を中心とした公家たちの力はそんなにそがれていなかったと解釈しています。学問でも地域のひいきが出てくるのでしょう。

日本語学でも大野晋がインドのタミール語が日本語の源だと、「声のはり、大きさ、相手を飲み込む勢い」で反対者を圧倒していたということで、大家の前では不都合な面があっても言えなかったのでしょう。

要するに学問ばかりでなく、現在生きているわれわれ一人ひとりが相手を縛っているようなものであり、一枚の布切れのように広がっていて、一人がくしゃみをすれば、それが伝播し何万キロ先までもその波動を感じるような世界に住んでいるということです。

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