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読書

井波律子 キーワードで読む三国志


        ここでも「泣いて馬謖を切る」の馬謖がでています。とかく才気あるひとは自分の才気だけで世の中どうにでもなるのだと思い込みすぎているので、始末に困ります。曹操の家来に揚修という頭のいい人がいました。劉備との戦いで、不利になったときです。曹操は鶏肋(ニワトリのあばら骨)のスープを飲んでいました。夏侯惇が「夜間の合言葉」を聞きに来た時、思わず「鶏肋」とつぶやきました。夏侯惇はさっぱり意味が分かりません。揚修がこう解説します。「鶏肋は食べようとすると肉がないが、捨てようとするには味わいがあります」すなわち戦場であるこの漢中の地は鶏肋であり、曹操はやがてこの地から撤退しうるだろうと言いました。まさしく曹操の気持ちでしたが、機転のききすぎる楊修を、勝手に撤退を指示した理由で、首を切り、殺しました。反対に劉備の息子・劉禅はそんなに切れる頭をもっていなかったので、かえって人生を全うしたといえそうです。降伏後、司馬昭に宴会の接待を受け、「ここでの暮らしは安楽で、蜀を思い出すこともない」と笑っていたそうです。このような男では野心がないということで相手からは安心されたでしょう。頭が良すぎて、疎まれ、殺されるよりは、少々おむつが悪いと思われて警戒されないほうが、長く生きられるようです。案外劉禅は無能を演じることのできる大物かもしれません。「大賢は愚かなる如し」

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