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カフカの小説に銀行員が何か分からない罪状で逮捕され最後には殺されてしまうというものがあります。伊藤律もある面そういうところがあります。ゾルゲ事件のスパイであったという容疑ですが、現在ではそのようなことはなかったと確定されています。共産党内部の権力闘争で野坂参三などに戦前のことを取上げられて追い込まれたのでしょう。野坂は中国共産党に伊藤の殺害を求めています。中国文化革命のときは殺されかけたこともありました。1980年に日本に帰ってきます。その後で野坂そのものがソ連やアメリカの二重スパイでなかったのかと言われて除名処分を受けています。
伊藤淳は律の次男で、1946年生まれ、中央大学を出て、共産党系の医院の事務長などをしていました。彼の母は戦前バスの車掌をしていて、伊藤律の指導で組合を作ったりして古くからのバリバリの共産党員になっています。律のスパイ説で一時は律との断絶を宣言していましたが、これは党の指導に従ったものでしょう。伊藤律が生きているというニュースがあって、野坂が彼女の家に来て、何で離婚をしていなかったのだと追求されたとことに腹を立てています。野坂には共産党員でありながら派手な指輪をつけていたとか、レストランで豪勢な食事をしていたといううわさがあったと、淳は書いています。
松本清張の作品にもゾルゲ事件で伊藤律がスパイであったと書いているものがあります。淳の抗議により、今ではその作品には注が付けられ、伊藤律の名誉が回復されています。
今では共産党は世間から追い詰められるようなことはないと思われますが、そのような状況にあったとき、赤軍派もそうですが、グループとしてまとまるにはまるで村のようになり、村八分をたたき出さないといけない状況になるのかもしれません。人事の難しさは党でも会社でも同じことでしょう。