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北村亘 ツバメの謎

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北村亘 ツバメの謎


     仕入れに行ったとき、段原の方で久しぶりにツバメを見ました。スーパーの入り口のテントの下に巣があるようです。段原も整備にかかって、昔の面影はありません。道の狭い、あのごちゃごちゃした町並みが広い道と新しいビルやしゃれ家に取って代わっています。私の脳の中には依然として昔の段原の面影が残っています。町の中に昔の痕跡を探そうと思ってもその手がかりはありません。唯一ツバメが私の脳のある部分を賦活させます。春先昼間はツバメが矢のように飛び、夕方になるとこうもりがどこからともなくヒラヒラ舞って来ます。私は川から釣竿とはぜに入ったバケツを抱え家に帰る。ふとそのような思い出をバイクを運転しながら見てしまいました。50年前の風景の方が今現実の風景よりより真実らしく思えてきます。

いづれにしてもツバメを見たことで、この本を読んでみようという気になったのです。最近ではトンと見られなくなったツバメについての解説を読むことで、昔の自分を取り戻そうという気です。鳴き声はこの著者によれば、「チュルリチュルリチュルリ、ジャー」。50年前は聞いていたはずのツバメの鳴き声がこうだとははじめて気づきました。私が子供の頃はツバメの鳴き声など関心がなかったのでしょう。

もてるオスのツバメはヨーロッパ系では尾羽が長いほうがもてるという観察があります。日本では喉の赤さが赤いほどもてるツバメだそうです。燕尾服も漢字を見るとまさしくツバメの尾っぽです。英語のswallow-tailed coatで訳です。燕尾服は何気に知っていましたが、ツバメの尾っぽと服が今初めて私の頭の中でカチャーンと合体しました。じゃあツバメの名前はどっから来たのだということになります。古典では「つばくらめ」といい、「つちばみ(土食み)」から来た説もあります。

ツバメのメスは浮気するものもいます。一緒に住んでこのオスはだめだと思ったメスはオスの監視を振り切って、巣を離れ別のオスとセックスします。巣の中には前の亭主のこと浮気の相手の子もいます。メスにとってはいずれの子も自分の子ですが、亭主にとってはタダことではありません。メスが外に出る度合いが多いほど、オスはその巣の子供に餌をやる度合いが少なくなるという調査結果が出ています。人間のオスも他人の種を持つ子供を養うというお人よしはあまりいないでしょう。鳥類も哺乳類も同じ傾向があるのでしょう。ツバメの寿命は長くて6年、平均だと3年だと推定されています。日本に来るのは3回しか来ないのですから、家に巣を作られたといって巣を取り払わないで欲しいものです。日本人ではそうする人はあまりいないでしょう。わざわざ人間の近くに巣を作るということはツバメも日本人を信頼しているからではないでしょうか。カラスや蛇などの天敵を追っ払ってくれると思っているのでしょう。

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