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読書

吉川永青 戯史三国志 我が土地は何を育む


    三国志演義も小説と言えば小説ですが、中国人特有のさばさばとした書きぶりで、ルポルタージュといった感じもします。しかし昭和の書き手・吉川永青のこの戯史三国志は平和ボケしたせいで甘いといわざるをえないようです。日本人の読者の好感を得るために純愛を主人公にセットしていますが、食うか食われるかの世界で、このようなものは蛇足に過ぎません。前漢の劉邦は関羽から追われているとき、助かりたいために、自分の子供すら馬車から投げ捨てようとした男です。劉備ファンの農民の男は自分の女房を屠って肉野菜炒めを劉備に出したのです。中国では亭主によって料理された女もいれば、貂蝉のように大の男たちを手玉に取るような女もいます。中国の女は日本人男が理想とする可愛い、おとなしい、素直だというものと全くかけ離れています。男以上に策略的です。戦国時代楚の国王懐王のもとに美人が送られてきます。それまでの愛妾は彼女をかわいがり、国王も安心します。この愛妾はこの美人に国王はただお前の鼻が気に入らないので、国王の前では鼻を隠すように言いつけます。国王はこの愛妾に今度来た美人は俺の前では絶えず鼻を手で覆っているのだというと、この愛妾はすかさず国王にあなた様の体臭が臭いので手で覆っているのだと言います。王はこの美人の鼻を削ぎ切りにしました。何と性根の悪い女なのでしょう!真に怖ろしいのは、国王が死んだ後の正大后です。愛妾たちをなぶり殺しにしていることはたびたび中国の歴史に記録されています。中国では男も女も4000年の歴史からしたたかさを学んでいます。たかが1500年の歴史では中国のしたたかさに追いつけないのです。この小説のように、兄嫁の死に際を見て、チンコが立たないと嘆いているようでは、平和ボケした昭和の作家とみなされるのがオチでしょう。

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