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団鬼六 大穴

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団鬼六 大穴


     出版社に頼まれて経った4日間で書きあげた小説です。これが当たって本が売れ、映画にもなりました。それで団は、入ってきたお金で小説の主人公のように小豆相場をやり、入ってきた金を全て吐き出し、なおかつ借金もでき、ほうほうの体で東京へ逃げ出します。

初めての長編で、「視点」の統一性がなく、欠点が見え隠れする小説ですが、あらすじが面白く、読者を最後までグイグイと引っ張っていく勢いのある小説です。最後頃は息切れて、ジャズシンガーの芸名を「大穴アテ子」としていますが、少々安易な名前の付け方です。なにしろ4日間で書いたので、この頃は頭が「朦朧」としていたのでしょう。

ジャズシンガーのモデルは団の妹であり、落ちぶれた相場師は団の父親です。団の祖父は回船問屋をやり富豪でした。そこの番頭と祖母が駆け落ちし、滋賀県の彦根市で映画館を経営していました。父親は若い頃シナリオなど書いていましたが目が出ないで、映画館経営に参加しますが、倒れそうになります。それでまた番頭が立て直したりしています。父の嫁、団の母親は映画俳優で、小説家の直木三十五とも関係があったといわれています。国木田独歩の弟とも関係があり、後々団は国木田家の女性を姪っ子だといって親しくしています。

団に影響を与えたのは何といっても父親です。勉強しているとそばに来て、そんなつまらないものなどやめて相場をしろと、世間では考えられないような父親です。また愛人を何人も作り、愛人から引き離してくるのが団の役目だったそうです。祖母、父、母、すべて多情な血筋を引いて、団も二回結婚し、カネが有り余る頃多くの愛人が出来ていたようです。

この小説では昭和32年5000万円株でもうけたとなっていますが、現在の金額に換算してみますと、当時月給が1万円とし、今は20万円とすれば、20倍ということで10億円ということになります。小説とはいえ、こんなに儲かると、楽しくて仕方ないでしょう。

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