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読書

塩見孝也 革命一代駐車場日記


        武装革命を主張した赤軍派の議長が今半民官営の駐車場の係員になっています。写真を見るとおとなしいおじいちゃんに見えます。かつては火炎瓶を投げ、道路の舗装をはがしそれを機動隊に投げつけていたものです。彼は理論家ですから、そういったことは下っ端に任せ、武装革命をアジっていたのかもしれません。大学の授業料の値上げの問題に端を発し、各大学にバリケードを築かれ、独特な字体で書かれた立て看板が林立する時代、彼・塩見孝也は左翼のスーパースターであったのです。1970年に逮捕され、府中刑務所で20年余り囚役し、1989年に出所します。2007年「清瀬市シルバー人材センター」の会員になり、いまもこの仕事を続け、時給950円で、一ヶ月9~10日程度で働いています。月にまとめると、4,5万円くらいしかなりません。

この仕事を始めて彼は理論家としての限界を感じています。

「原始共同体社会であろうと、階級に分裂した社会であろうと、人が生きてゆきための鉄則であります。労働し、生産することで、それがいかに自分の意に沿わない労働であったとしても、これに耐えて一日一日、自己をいきながらえさせ、そのなかから、自分の幸福、家族、友人、知人、近隣の人々の幸福を創造してゆこうとするのでしょう」

「このような庶民、民衆の生活感、人生観が本当は、政治や革命の根底に座らなければ、決して、このかけ離れは埋められていけないこと。というより、このような意識、達成感に立脚していかない限り、本物の民衆自身の政治、社会革命の意識は育っていかないなー、という思いを強くしたわけです」

といっても、駐車場の合理化案に対し、塩見は敢然と戦っています。機動隊と闘うことはないでしょうけど、小難しい共産党言語を駆使し、管理会社の不理尽さを追求しています。まさしくこの闘争が塩見の晩年の生きがいになっているのは間違いありません。

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