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京都の貴族のドラ息子が関東で無茶をしでかして、婚家の男兄弟から毒を飲まされ、「六根片端」(聾啞者、足なえ)なります。土車に載せられ、伊勢の温泉につかれば治るのだということで、関東から伊勢までこの土車でいきます。この土車を引っ張ることで仏法の果報に預かれるということで、各地の人々が協力します。やがて温泉に入り、元の立派な若者に生まれ変わります。結婚した娘も川に沈められて殺される予定でしたが、命じられた兄弟はそのまま川に流します。それが人買いの老婆に見つけられ、名古屋方面の女郎として売られますが、男を抱くような仕事はしたくないということで、水を運ぶ重労働をさせられます。その宿場に土車が来て、元の亭主だとわからずに、5日間の休暇をもらって、この土車を引っ張ります。やがて若者がよみがえって復讐譚になっていくのです。これが説教節のあらましです。この説教節を唱えるものが河原乞食と言われる芸能集団です。現在の芸能人には年収何億と稼ぐ人もいますが、河原乞食といわれるくらいですから、中世の芸能人は食うや食わずの生活をしていたのでしょう。この説教節や山椒大夫を見てもわかるように、人買いに売られた奴隷の生活は悲惨です。山椒大夫では役に立たないとわかれば、足の筋を切られ、田畑の雀を追い払う人間かかしになってしまいます。日本人は優しい人間だと思いがっていますが、これらの話を聞くと、綿花畑で黒人を酷使するアメリカ人とそう変わりはないようです。