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大下英治 百円の男 ダイソー矢野博丈

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大下英治 百円の男 ダイソー矢野博丈


    人物誌で一番面白いところは、確固たる形になる前までの試行錯誤の混乱のときです。若いときの成功は中年以降失敗する率がたかいと思われ、若いときの失敗は、後年大成功につながることも多い。そのままダメになる人もいますが、若いときの苦労辛苦はその人に謙虚さを身につけさせるのでしょう。嫁さんの実家の養殖業で失敗し、東京まで夜逃げし、くずやになり、ちょっともうけ、金持ちの養子になるが、不仲になり解消、日用雑貨の移動販売をするようになります。以前スーパーの前でテントを張り、日用雑貨を売っていましたが、まさしくその商売をしていたのです。いちいち商品に値札をつけるのが面倒くさく、すべて100円にしたのが大成功の端緒です。2トントラックで全国を売りまわります。妻も東広島市の倉庫で2児を育てながら、商品の入れ替えを行います。この時期の矢野夫婦はぶつぶつ文句を言いながらも、もっとも充実したときではないかと思われます。いまは日本と世界に何千店舗をもち、黙っていても大金が入ってくる。もはや奥さんはやることもなく、いらいらしながら商品を詰め込んでいたあの日々のことが懐かしく思われているに違いはありません。矢野社長も成功者としていろいろなところに呼び出され、講演をしているかもしれないが、スーパーの前で声を張り上げお客を呼び込んでいた日々のほうが本当は充実感を味わっていたのではないかと思われます。矢野社長の長男は医者になり、二男がスーパーイズミを辞めて戻ってきました。元帝国海軍の潜水艦の兵士だったイズミの会長はこの前97歳で亡くなっています。矢野社長も息子を鍛えてほしいという気持ちでイズミに就職させたのでしょう。このように企業が大きくなると、経営に従事するテクノクラートが必要になります。声を張り上げてお客を呼び込む状況ではなくなります。息子はいかにこれらテクノクラートを纏め上げるかが彼に課せられた課題です。広島にはマツダとカープとダイソーくらいかしか目立った企業はないのですから、長く存続してほしいものです。

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