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読書

大森実 ジョージ・R・パッカード 日米衝突への道


    第二次世界大戦でアメリカに負けたけど、その後経済ではアメリカを負かしたと思っていた時期がありました。日本がバブルで浮かれていた時期です。三菱地所がニューヨークのロックフェラーセンタービルを買ったり、ソーニーがアメリカの映画会社を買収したりしていました。おまけに石原慎太郎が「NOと言える日本」という本を出したりして、アメリカなにするものぞと思いあがっていた時期です。アメリカでは日本車をハンマーで叩き割ったりしていました。円高を強制し、スーパー
301条をちらつかせて、日本からの輸入を制限し、日本への輸出の緩和を大幅に求めていました。まるで今のアメリカと中国と一緒の構図です。ただし日本とは違って中国は対抗処置をとっています。その頃の日本はマハラジャでボディコンの女たちがお立ち台で踊り、緊張の弛緩した顔をもった日本の経済戦士が下からスカートの中をのぞみこもうとしていました。その頃アメリカは日本の異質論を唱えながら、自国の産業をIT産業や金融産業に切り替えていきます。反対に日本はバブルが崩壊し、その後20年もその後遺症が続きます。バブルの時期、資金が潤沢な時、アメリカと同じように新しい産業を開発すべきだったのに、土地神話の影響で土地を買ったり、ビルを買ったり、ゴルフ場を作ったり、アメリカの国債を買ったりしていました。これらがすべてだめになり、後にアメリカの金融会社が行き詰まった銀行などを安く買い叩きます。第二回目の敗戦です。

日本が驕り高ぶった時期に、大森とパッカードが対話し、パッカードは貿易で得た利益をアメリカの地方債を買ったらどうかと提案しています。これも日本をなめてかかっているものの一つです。現在中国にこのようなことは言えないでしょう。今の中国はアメリカの国債を売り払うと脅しています。石原慎太郎のNOだけで大バッシングを受けています。日本が持っているアメリカの国債は塩漬けされて、売ることもできません。一基あたり1000億円もするイージス・ジョアも買わされそうです。これらの流れを見ると、どうも指導者の質の違いにあるような気がしてきます。補助金の見返りに自分の息子の試験の点数をかさ上げにしてもらった文部省の高官がいまだにいるようでは、日本は永遠にアメリカを負かすことはできないでしょう。

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