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安倍夜郎 左古文男 四万十食堂

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安倍夜郎 左古文男 四万十食堂


        安倍夜郎の漫画がテレビドラマになっています。「深夜食堂」です。毎回一つの料理にまつわる物語が展開します。歌舞伎町の路地にある小さな食堂の店主とお客とが織りなす物語です。なかにはほろりとする場面もあります。この本にも出ている、ソース焼きそば目玉焼きのっけてという一話です。一人の女が店に入ってきます。その女性はいつもソース焼きそば目玉焼きのっけてといって、その焼きそばだけを注文します。その女性が帰った後、他の男性客があの女性は有名な女優ではないかと言いはじめ、歌手としてデビュー時代は苦労していたという話になります。その理由は彼女の父親が事業か何かで失敗して、蒸発したのだと。ある日この店主が財布を落としますが、浮浪者のようなオヤジが彼の財布を届けてくれます。礼をしようとしてもその男は金を受け取りません。仕方なく店主は店で朝飯でも食っていってくれと頼みます。彼が朝食を食べている時、テレビで、ソース焼きそば目玉焼きのっけての女が新作映画に出演するというニュースが流れます。店主はこのオヤジに彼女は時々来て、ソース焼きそば目玉焼きのっけてを食べるのだと言います。そうしたらこの浮浪者はその焼きそばに四万十川の青海苔をかけるとおいしいのだと言います。何日かたち例の女性がやってきます。いつもの注文をします。店主はその仕上げに四万十川の青海苔をかけて出します。彼女はびっくりします。店主は彼女に、ある男が四万十川の青海苔をかけると焼きそばがもっとうまくなると言って、彼女に食べさせてあげてくれと頼まれたと告げます。そうしてこのオヤジはあんたのファンだそうだと言います。彼女の目から涙がこぼれます。彼女が子供時分父親がいつもそうして焼きそばを作ってくれたからです。何とも泣ける話ではありませんか。書いている私も涙ぐんでいます。トシをとると涙腺が緩んで、ちょっとしたことで涙が出ます。

安倍夜郎 左古文男 も四万十川流域のもと中村市の出身です。今は四万十市と改名されました。子供時代に食べたものが、つまり母親が作ってくれたものが、トシをとってもご馳走なのだとわかります。ソース焼きそば目玉焼きのっけて、かつ四万十川の青海苔つきが、他人から見るとたいした料理でもないと思われますが、当事者にしてみればこの料理こそ思い出が詰まった世界で最高の料理だといえます。四万十川流域で取れる食材や、太平洋の魚がこの二人にとって、ソース焼きそば目玉焼きのっけて、かつ四万十川の青海苔つきということになるようです。

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