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小池正胤 「むだ」と「うがち」の江戸絵本

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小池正胤 「むだ」と「うがち」の江戸絵本


     200年以上経つと今の漫画も解説付きでないと読めなくなっているでしょう。ここに紹介されている絵本である「黄表紙」の中味の文章は崩し文字で私には読めません。絵は何となくわかりますが、脇に書かれた細かい文字はまるで暗号のように思えます。ここでは5本の黄表紙本をその地文を活字にし、訳文をつけてなおかつ解説してくれています。江戸時代このような本を各階級の人々が競って読んでいたというのですから、何と日本人の識字率は高かったのかということがしのばれます。「金金先生栄華夢」きんきんせんせいえいがのゆめ、これの読み方は何となくわかります。「辞闘戦新根」これは「ことばのたたかいあたらしいのね」と読むのだそうです。新根と書いて、「あたらしいのね」とは200年前といっても古さを感じさせません。「江戸生艶気樺焼」、えどなまいろけかばやきと読んではいけません。「えどうまれうわきのかばやき」が正しいのです。「天下一面鏡梅鉢」これはそのまま、てんかいちめんかがみのうめばち、「的中地本問屋」は、てきちゅうじほんとんやは間違いで「あたりやしたぢほんとんや」と読むということです。芥川龍之介の「杜子春」は「金金先生栄華夢」をもう少し文学的にした焼き直しです。「辞闘戦新根」はまさに現在の、年末に行われる言葉大賞に当たるものでしょう。「江戸生艶気樺焼」は寅さん映画を観ているような気がしてきました。「的中地本問屋」では昔の出版業も今もそんなには変わらないことを示しています。「天下一面鏡梅鉢」は松平定信の寛政の改革を揶揄したもので、絶版の処分を受けています。

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