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読書

小沢重男 日本語の故郷を探る


     以前万葉集は朝鮮語で読めるという本がありましたが、それはこじつけであるということになりました。モンゴル語と日本語の語彙が似ているからといって、日本語の祖形がモンゴル語であると断定はできないでしょう。
4万年前ころから日本列島に人類が入ってきたようですが、その頃それらの人がどのような言語をしゃべっていたのかわかりません。朝鮮半島から、中国の沿岸部から、ミクロネシアの島嶼伝いから人々は日本列島にやってきました。これら考古学観点から、日本はアジア方面だけの環太平洋地域の人々が集まってできた国だと言えましょう。語順が朝鮮語と似ているからといって、4万年前のころから日本語と朝鮮語は同形だった言えないし、モンゴル方面から移住してきた人々もいるといったって、日本語はモンゴル語であったともいえない。ヨーロッパ語族のように理路整然として、その発達経路が判るようにはなっていないようです。ここの言葉には似たものがあるかもしれませんが、それは文化の伝達によってできたもので、もともとあったものとは言いがたい。人類が誕生していろいろな言語が生まれましたが、大半が死滅してしたようです。日本語が残ったというのは氷河期が終わり、海面が高くなって、大陸から切り離されたことのよって、強大な勢力に押し流されなくなったということによります。まるで隔離されたように、希少言語である日本語が生き延びたということです。4万年の経過で日本語は独自の発展を遂げたということになります。まるで正倉院のように、世界の遺品を集め、世界ではそれらがなくなったが、日本では収蔵しているように、日本語も死滅した言語も、未だに生き残っている言語も取り込んで、現在の日本語になっているということです。

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